組織の仕事の仕組み(マネジメントシステム)が国際規格に適合し、有効に機能しているかを第三者が審査し、世間に公表するISOマネジメントシステム認証制度がある。
このISOマネジメントシステムについて、最近、個人的に気になっている点を備忘録代わりに、何回かに分けて少しまとめておきたい。
今回のテーマは、「組織に該当する産業分野と審査員に必要な力量」について。
◆組織に該当する産業分野と審査員に必要な力量は必ずしも一致しない◆
ISOマネジメントシステム認証機関に要求される認定基準として、以下のような規定があります。
(以下、JIS Q 17021-1:2015より抜粋)
JIS Q 17021-1:2015
9.1.2 申請のレビュー
9.1.2.3 このレビューに基づき、認証機関は、審査チームに含める必要のある力量及び認証の決定のために必要とされる力量を決定しなければならない。
(引用ここまで)
この規定は、要は、「組織のマネジメントシステム規格に対する適合性を審査するために審査チームに必要な力量を決定し、適切な審査チームを構成しなさい」という意味です。
マネジメントシステム審査における「審査に必要な力量」とは、認証機関によって考え方は若干異なりますが、一般的には「組織に該当する産業分野経験、あるいは、コンサルティング等の経験、審査経験や関連する学歴や資格など」で力量を決定していることが多いです。
では、「マネジメントシステムの適合性を適切に審査できる力量とはなんだ」と突き詰めていくと、紙面が足りないので、これも一般論ですが、食品安全や航空宇宙などのマネジメントシステムは、追加要求があり技術的な側面にもやや踏み込みますが、品質、環境マネジメントシステムの場合は、大雑把に言えば「その組織の業務プロセスをおおよそ理解し、概要を説明できる程度の知識」と理解してよいと思います。
そこで、一般的には、
・組織に該当する産業分野の業務経験=必要な力量
としている認証機関が多いです。
しかしながら、「組織が該当する産業分野と必要な力量が一致しないケース」があります。わかりやすいのは、「29小売、卸売」です。
例えば、組織のサービスが「薬品の卸売や小売(分野29)」をしている場合、「食料品の卸売や小売(分野29)」の業務経験がある人物を割り当てても、必ずしも適切とは言えません。
この場合は、おそらく、分野29の力量かつ、分野13(医薬品)の力量が必要となるでしょう。
認証機関の肩を持つわけではありませんが、登録組織数が増えて、初回申請のレビューやマネジメントシステム認証範囲の変更時のレビューが、システマティックに機械的になると、仕事の内容をしっかり熟考せず該当する産業分野だけで審査員の力量を判断してしまうケースが出てきます。
認証機関のマネジメントとして、組織数が増えたとき、業務が急激に多忙になった場合、ベテラン職員が異動になり補充が追いついていない場合などは、こうしたミスに注意が必要ですね。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ743号より)
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