組織の仕事の仕組み(マネジメントシステム)が国際規格に適合し、有効に機能しているかを第三者が審査し、世間に公表するISOマネジメントシステム認証制度がある。
このISOマネジメントシステムについて、最近、個人的に気になっている点を備忘録代わりに、何回かに分けて少しまとめておきたい。
今回のテーマは、「適用範囲拡大の審査」について。
◆適用範囲の拡大は、サーベイランスに併せて実施することが多い◆
ISOマネジメントシステムの既認証組織が、適用範囲の拡大をするケースを少し考えてみます。
適用範囲の拡大には、「認証範囲に含まれている製品を増やす場合」と「認証範囲に含まれている組織やサイトを増やす場合」があります。
組織が適用範囲を拡大する理由は、
・組織が製造及びサービス提供の範囲を増やした
・増やした製品及びサービスについて、認証取得の必要性が生じた
・工場設備の老朽化や生産量拡大により、新たなサイトに工場を建設した
・・・
といった理由があるでしょう。
ただ、私の経験上、よっぽどの事情がない限り、適用範囲の拡大は、サーベイランスや更新審査に併せて実施するケースが多いです。
適用範囲の拡大は、ISO/IEC17021-1:2015では、「特別審査」として規定されています。
この特別審査の箇条では「9.6.4.1 適用範囲の拡大」で、次の通り規定されています。
(以下、引用)
認証機関は、既に授与した認証範囲の拡大申請に対しては、申請内容のレビューを行い、拡大の可否の決定に必要な審査活動を決めなければならない。この審査は、サーベイランス審査と併せて実施してもよい。
(引用、ここまで)
ISO/IEC17021-1:2015の拡大に関する規定は、これだけなので、認証機関の審査手順でも、「特別審査の実施手順」には、「サーベイランス審査または更新審査と併せて実施できる」という程度のことが規定されているだけで、詳細手順はありません。
個人的には、特別審査を単独で実施する場合、組織は、
・拡大範囲に関するマネジメントシステムを確立し、運用事例を作る
・拡大範囲に対する内部監査を実施する
・拡大範囲に関するマネジメントレビューを実施する
ことが必要でしょう。
また、認証機関が、単独で「特別審査」を実施する場合は、
・マニュアル、手順書など拡大に伴い改訂、新規作成した文書をレビューする
・審査計画書に拡大審査の目的、拡大する範囲を明確にする
・審査報告書に、拡大審査の目的の達成度合や適用の証拠となる審査概要を記述する
・拡大範囲に関するマネジメントシステム要求事項全般を検証する
といったことが必要でしょう。
認証機関は、適用範囲の拡大審査を単独で実施するケースはあまりないので、単独で実施した場合は、案外、拡大部分の審査目的や審査範囲が明確になっていない審査計画書や審査報告書になっている可能性があるので、審査員教育と審査手順を検証しておくことが必要でしょうね。
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