統計用語に「疑似相関」があります。
意味は、
「2つの事象に因果関係がないのに、見えない要因(潜伏変数)によって因果関係があるかのように推測されること」
つまり、
「因果関係がないのに因果関係があるように見えてしまう(相関関係がある)こと」
を指します。
例えば、
「アイスクリームの売上げが増えると食中毒が増える」
「ビールの売上げが増えると水の事故が増える」
「数の子の売上げが増えると窒息死が増える」
それぞれ、「気温」、「夏」、「正月」といった潜伏変数が隠されているわけです。
2021年1月18日付の朝日新聞デジタルが、
「家庭内で受動喫煙10年超…若者の虫歯リスク1.5倍に」
という見出し記事を報じていました。
記事によれば、
・家庭で10年以上、たばこの煙を浴びた若者が虫歯になりやすいことがわかった
・この調査結果は、岡山大の研究グループ(森田学教授ら)がまとめた
・受動喫煙の経験がない若者と比べ、虫歯リスクが約1.5倍高かった
・研究者は「家庭での喫煙は家族のお口の健康も奪う」と注意を呼びかけているる。
・受動喫煙が乳歯への悪影響は知られているが、永久歯への調査は他にほとんどない
・研究グループは双方の歯の健康習慣などを比較した
・研究成果は昨年11月、スイスの学術誌に掲載された
ということだそうです。
この研究では、統計的に意味のある違いとして、
「1日の歯磨き回数」
「歯の矯正をした」
「10年以上家庭でたばこの煙にさらされている」
の3項目が浮かび上がったとしていました。
拙速な判断はできませんが、この記事を読んだときの印象として、「受動喫煙が長いと虫歯リスクが高い」は、疑似相関で、潜伏変数として、「受動喫煙と虫歯になりやすい人は、健康意識が低い」など別の要素があるのではないかと思いました。
おそらく、健康意識が高い人の群を調査すれば、
・家族で喫煙者がいない
・喫煙者が家族にいてもベランダなど喫煙空間がある
・虫歯が少ない
・・・
といったデータが現れるのではないかと思います。
虫歯に関しては、私自身が50年以上、虫歯を作ったことがないので、感覚的には、後天的要素よりも、先天的要素が高いように感じます。
この研究では、虫歯になる要因として、
・受動喫煙によって口中の虫歯原因菌が増える
・口呼吸が増えてドライマウスになり歯を守る唾液が減る
も挙げていますが、私は典型的に、睡眠時は口呼吸で、朝は口の中がからからのドライマウスです。
この研究結果は、一見、関係がありそうですが、虫歯リスクには、他の隠れた要素があることを考慮しないと世間の人をミスリードしてしまうように思います。
あっ、でも、喫煙は健康に良くないよ、という印象を与えるのが目的なら、嫌煙家の私にとっては、都合のいいニュースです(笑)
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