組織の仕事の仕組み(マネジメントシステム)が国際規格に適合し、有効に機能しているかを第三者が審査し、世間に公表するISOマネジメントシステム認証制度がある。
このISOマネジメントシステムについて、最近、個人的に気になっている点を備忘録代わりに、何回かに分けて少しまとめておきたい。
今回のテーマは、「ISO認証審査審査回顧録(組織の説明責任)」について。
ISOマネジメントシステムの認証審査は、「第三者審査」とも言われます。
したがって、審査を実施する「認証機関(審査登録機関)」は、客観性、公平性、信頼性が当然、求められます。
例えば、認証機関の親会社や子会社組織があり、そこをその認証機関が認証していたら「公平性」の観点が真っ先に世間からは疑われます。
仮に、担当した審査員は「審査員の矜持で審査を正当に実施しました」と言い張ったところで、客観的に見れば「親会社から圧力があって甘い審査をしたんでしょ」と言われるのがオチです。
つまり、第三者審査は、消費者や発注者、潜在的顧客、社会などの立場で受審組織から「規格適合性の説明責任」を求めることになります。
要は、説明責任は「認証を受ける組織」にあるわけです。
日本における1990年代は「ISO認証制度の黎明期」といえますが、何の世界もそうですが、黎明期は、ISO認証を取得したい組織は、必死に勉強しています。
また、商取引条件、社内改革のツール・・・など、必要に駆られてISO認証取得活動をしますので、「規格要求の○項は、うちの会社で言えば、この仕事が相当し、この手順や記録で第三者(認証機関)に説明できる」と理解していました。
しかし、ご承知のとおり、規格は、全ての産業に対して汎用性を持たせるように記述されています。そのため、ISO用語に慣れないと、さっぱり頭に入ってきません。
また、ISO取得拡大期は、
「うちの会社も業界横並びで認証を取っておくか」
「発注者が要求しているから、面倒だけどうちも取得しておくか」
「コンサルと認証機関が営業に来たから金を払って箔を付けるか」
・・・
といった「後ろ向きな認証取得組織」が増えていきました。
また、「規格の意図を理解できない」⇒「自分で理解せずコンサルタントに言われたとおりの手順や様式を作る」⇒「無駄な手順書や記録作成が増える」⇒「ISOは面倒だ」という認識が定着し、悪循環になりました。
さらに、マネジメントシステム構築や認証審査が、システムアプローチ、プロセスアプローチとなり、いつしか、
「規格に適合しているかどうかは認証機関の審査員が調べるもの」
「うちら組織は、ふだんやっていることを説明すればいいだけ」
という風潮になりました。
また、認証機関としても、「お客さん(認証組織やこれから認証する組織)の取り合い」が激化し、お客さんの機嫌を損ねないよう気を遣うようになり、「説明能力がない組織には、無理に説明させるのを止めて、こちらで適合の証拠を見つければいいや」という発想になっていきました。
こうした流れの中で、どんどんISO認証審査では、組織の説明責任は問われなくなっていき、審査員も「みなさんは、自分の仕事を説明すればいいだけで、何も新しいことをやる必要はありません」などと言い出すので、「受審組織の説明責任能力」は、全般的に低下していったのです。
ただ、最近、この「自分の仕事を説明できればいいです」方式の審査では、「社員のマネジメント能力が育たない」、「もっと“なぜこのようにやっているのですか?”と聞いてください」という企業経営者が増えてきたように思います。
おそらく「単に認証を取得しただけでは、規格を活用した組織の継続的改善や社員の能力向上につながらない」と経営者が気づいたのでしょうね。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ721号より)
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