リーガルドラマと裁判官・検事の評価指標

Filmarks（映画情報サービス）によれば、Filmarksで評価が高い「リーガルドラマ」作品は、次の10作品だそうです。

◆『カバチタレ！』（2001）：主人公は「行政書士」

◆『HERO シーズン1』（2001）：主人公は「検事」

◆『ビギナー』（2003）：主人公は「司法修習生」

◆『離婚弁護士』（2004）：主人公は「弁護士」

◆『弁護士のくず』（2006）：主人公は「弁護士」

◆『リーガル・ハイ』（2012）：主人公は「弁護士」

◆『99.9 -刑事専門弁護士-』（2016）：主人公は「弁護士」

◆『正義のセ』（2018）：主人公は「検事」

◆『イノセンス　冤罪弁護士』（2019）：主人公は「弁護士」

◆『グッドワイフ』（2019）：主人公は「弁護士」

この10作品の主人公を整理すると、

・弁護士：6作品

・検事：2作品

・司法修習生：1作品

・裁判官：1作品

となり、圧倒的に「主役は弁護士」のドラマが多いです。

この10年に日本で制作された連続ドラマで「リーガルドラマ」が何作品あるのか分かりませんが、感覚的には、「弁護士主役作品」が多いと思います。

月並みですが、「無実の人を救う」、「警察、検事といった国家権力に勝つ」というストーリー展開が、日本人は、好きなんでしょうね。

リーガルドラマではありませんが、「下町ロケット」で、恵俊彰さんが演じる佃製作所顧問弁護士の神谷修一が、特許裁判で佃製作所を救うシーンも多くの視聴者の胸がスカッとしたシーンもそのひとつだと思います。

それにしても「リーガルドラマ」ですから、法廷シーンで登場する立場は、3者ありますが、リーガルドラマの主役は、弁護士や検事ばかりで、「裁判官」がこれまで、殆どありません。

それを、打ち破ったドラマが、現在放送中の「月９」ドラマ、「イチケイのカラス」（フジテレビ系　月曜よる９時〜）です。

原作とは、若干設定を変更していますが、主人公は、中卒（高校中退）の元弁護士の裁判官、入間みちお（竹野内豊さん）。

主人公の決め台詞は「職権を発動します」。

要は、裁判所主導で、地道な現場検証をして、真実を探るのです。

正直、番宣の時は、「あまり期待していなかった」のですが、1回「お試し視聴」して、ハマりました。

今シーズン（2021年4～6月期）のドラマの中で、視聴率的にもトップ3に入るのではないでしょうか。

さて、ドラマの話題から少し逸れますが、これらの人気リーガルドラマでは、「なさそうなこと」をテーマにしています。

例えば、『99.9 -刑事専門弁護士-』では、立件されれば「ほぼ有罪確定」の刑事事件を「無罪」にする弁護士が主役です。

また、検事が主役の『HERO シーズン1』では、キムタクが、警察の調査に疑問を呈し、自ら検証して立件するかどうかを判断します。

一般的には、

・裁判官：処理件数

・検事：立件率

・弁護士：勝訴率

がそれぞれの職業の「評価指標」となっていることがドラマを通じてわかります。

しかし、ドラマを見ていると、これらの評価指標は必ずしも「優秀であること」を表す尺度ではないし、「社会のためになっていない」ことが分かります。

「イチケイのカラス」の入間みちお裁判官のように、しょっちゅう「職権を発動」すれば、他の裁判に影響を与えるし、「ヒーロー」の久利生公平検事のように警察の調査を検証しなおしまくっていたら、仕事が遅滞しまくるので、確かに上には評価されないし、出世はできないでしょう。

しかし、裁判官も検事も公務員ですから、一般市民としては「自らの出世よりも真実を明らかにして公平な審理と秩序ある社会づくりをして欲しい」というのが「顧客要求」です。

裁判官や検事の「組織における評価指標」と一般市民の期待・・・「顧客満足度」が一致しない世界だな、とドラマを見ながら感じた次第です。

（※　自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ　メルマガ750号より）

【好評発売中！】
『ISOの復権　マネジメントシステム認証制度が社会的価値を持つために必要なこと』

（ブイツーソリューション刊）

http://www.v2-solution.com/booklist/978-4-434-26285-2.html

“できるビジネスマンのマネジメント本”（玄武書房）

【よかったらメルマガ読者登録お願いします♪】↓
（パソコンでアクセスしている方）