2021年5月2日付の毎日新聞が、

「元特捜部長、弁護士登録へ 大阪地検・証拠改ざん事件で有罪」

という見出し記事を報じていました。

 

記事によれば、(筆者が一部編集)

◆大阪地検特捜部長だった大坪弘道元部長の弁護士登録を日弁連の資格審査会が認めた

◆大坪氏は、2010年に、大阪地検証拠改ざん・隠蔽事件で、犯人隠避容疑で逮捕された

◆証拠改ざん事件では、最高検が前田元主任検事を証拠隠滅容疑で逮捕(実刑判決が確定)した

◆大坪氏は、前田元主任検事の行為を隠避し、懲役1年6月(執行猶予3年)が確定した

◆弁護士法は禁錮以上の刑が確定すると弁護士になる資格を失う

◆ただし、執行猶予期間が終われば申請が可能となる

◆大坪氏は、2017年9月以降、大阪弁護士会に入会を申請し、今回が3回目だった

ということだそうです。

 

この「大阪地検特捜部の証拠改ざん・隠蔽事件」では、大坪元部長、佐賀元副部長、前田元主任検事の3人が逮捕されています。

前田氏は、毎日新聞の報道にもあるように、実刑が確定し、2012年5月に満期出所しています。

いまでは、ヤフーが公式に認定した「コメンテーター」として、ヤフーニュースでニュースをよく解説しています。

ただし、現時点(5月2日11時半)で、この記事に対する前田氏のコメントはありません。

 

ちなみに、実刑判決を受け、刑期満了後、10年が経過すると法曹資格は回復するそうです。

前田氏は、2012年5月に刑期を満了しているので、理論上は、来年の今頃に「法曹資格回復」となります。

ただし、弁護士には「公権力からの独立性」という考え方があり、「弁護士自治」の世界です。

要は、弁護士資格を認めたり、懲戒処分を行うのは弁護士会なのです。

したがって、仮に、前田氏が法曹資格を回復し、弁護士になろうとしても、弁護士会が入会を認め、かつ、日弁連(資格審査会)が弁護士登録を認める必要があるので、ハードルは高いようです。

 

大坪氏の話題に話を戻しますが、ヤフーコメントでは、今回の弁護士登録について、厳しい意見が多いようです。

よく例えに出るのが「わいせつ行為で懲戒解雇された教員の教員資格」です。

現在の制度では、一定期間を経過すれば教員資格は復帰しますが、現在、その是非が議論されています。

つまり、厳しい意見の多くは「大坪氏に弁護士登録を認めるべきで無い」という意見です。

 

しかし、国選弁護人はともかく、弁護士という職業は、教員と違って、サービス需要者(弁護の依頼者)が、弁護士を選べます。

つまり、「弁護を依頼する上で、信用できる/できない」の判断は、依頼者が判断すればいいのです。

したがって、私見ですが、「元特捜部長」という肩書きやこれまでの大坪氏の経歴から、弁護を依頼したい人がいるならば、刑期や執行猶予期間が終われば、弁護士会の判断次第ですが、弁護士登録できる仕組み自体に、問題は無いと思います。

有罪になった人が、執行猶予満了や刑期終了後に前科を理由に「復活」できないとしたら、それは「差別」ダと思います。

 

「大阪地検特捜部の証拠改ざん・隠蔽事件」で逮捕された佐賀元副部長は、いま、何をされているのかわかりませんが、どうされるのでしょう。

個人的には、

 ・大坪氏が弁護士登録後、どのような仕事の依頼があるのか

 ・前田氏が大坪氏の弁護士復帰についてヤフコメで語って欲しい

という点に興味があるので、今後の動向に注目です。
 

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