2021年4月27日付けの共同通信社が、

「爆発で車20台の窓ガラス割れる 埼玉のセメント工場」

という見出し記事を報じていました。

 

記事によれば、(※一部筆者編集)

◆埼玉県日高市の「太平洋セメント埼玉工場」で爆発音がして乗用車1台が炎上した

◆事故で、工場に隣接するパチンコ店の駐車場にあった車約20台の窓ガラスが割れた

◆埼玉県警は、工場内で爆発が起き、広範囲に被害が出たとみて調べている

◆駐車場にいた坂戸市の男性によると、雷のような音がして工場から黒煙が上がっていた

◆男性は無事だったが、飛散物が当たって炎上したとみられる車があった

◆パチンコ店の防犯カメラが壊れていた

◆工場の担当者によると、爆発が起きたのは電源確保用の自家発電設備とみられる

とのことです。

 

太平洋セメントのウェブサイトには、現在(4月27日14時)、埼玉工場で発生した爆発事故について、掲載されていません。

太平洋セメントは、CSRレポートをはじめ、利害関係者への経営状況、コンプライアンス、環境への取り組みなどを積極的に公表している会社ですので、事故の経緯についは、会社の発表を待ちたいと思います。

 

ちなみに、太平洋セメントは、国際マネジメントシステム規格であるISO14001(環境マネジメントシステム)を(認証機関は、一般財団法人 建材試験センター ISO審査本部(JTCCM MS))全社で取得しています。

おそらく、この後の手順としては、組織は、認証機関に事故の経緯を報告し、認証機関もマネジメントシステム上の影響を評価することになります。

また、状況によっては、認証の一時停止等もあり得るかもしれません。

こちらも、今後の動向に注目したいと思います。

 

さて、事故原因ですが、記事では「自家発電設備」となっています。

おそらく、電気事業法第38条で定義されている「自家用電気工作物」で、600Vを超えて受電する需要設備ではないかと思います。

自家用工作物は、漏電や爆発、火災のリスクがあるので、法令上も、電気事業法第42条で「定期的な自主点検を実施すること」と電気事業法施行規則第52条に該当する要件の場合は、年次点検が規定されています。

 

ただし、電気事業法第42条では、自主点検が義務付けられていますが、具体的な点検頻度や点検方法は決められていません。

したがって、事業者ごとに電気設備の「保安規定」を作成し、規定に従って定期点検をすることが義務付けられています。

 

つまり、事業者及びISO認証機関は、この「保安規定」が定められていて、それに従った点検がされていること及び、保安規定の内容が実情に見合ったものであったかどうかを、確認することが必要です。

また、保安規定に沿っていたとしても、電気保安協会などが実施した点検記録に、配線状態や保守部品の交換等、注意事項が報告されていて、それに事業者が適切に対応していたかどうかも、注目されるところです。

 

よく、オールドタイプの環境マネジメントシステムの専門家は、「電気事業法は環境法規ではないので、環境マネジメントシステムで管理する範疇ではない」とおっしゃられる方がいますが、私は、自家用工作物が有するリスクにより想定される結果は、環境影響であることは間違いないので、環境マネジメントシステムで管理するのは当然だと思います。

 

太平洋セメントと認証機関(建材試験センター)の今後の公表と対応に注目したいですね。
 

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