組織の仕事の仕組み(マネジメントシステム)が国際規格に適合し、有効に機能しているかを第三者が審査し、世間に公表するISOマネジメントシステム認証制度がある。
このISOマネジメントシステムについて、個人的に気になっている点を備忘録代わりに、何回かに分けて少しまとめておきたい。
今回のテーマは、「サービスの設計・開発」について。
国際認定機関フォーラム(IAF)の専門委員会の要請により、2004年にISO/CASCO、ISO/TC176、及びIAFの関係者が集まったAPG(Auditing Practices Group:APG)が非公式なグループとして発足しました。
ご存知のように、APGはISO9001審査の信頼性確保に寄与することを目的に良い審査のための有益な情報を「APG Paper」としてTC176ウェブサイト上で提供しています。
https://committee.iso.org/sites/tc176/home/page/iso-9001-auditing-practices-grou.html
APG文書から「サービスの設計・開発」について考察したいと思います。
QMS(ISO9001)では、
“組織は、以降の製品及びサービスの提供を確実にするために適切な設計・開発プロセスを確立し、実施し、維持しなければならない”
ことを要求しています。
したがって、
・原則的には、サービス業において、設計・開発の適用が除外されることはない
・設計・開発の適用が除外されるとしたら、
→サービス提供の適合性に影響しない
→顧客満足の向上を確実にするための能力や責任に影響しない
ことを組織は示す必要がある
ということになります。
繰り返しになりますが、マネジメントシステム審査において、審査員は、「サービス業の組織が設計・開発の適用は不可能です」と表明していたとしたら、
・サービス提供の適合性に影響しない
・顧客満足の向上を確実にするための能力や責任に影響しない
ことをしっかりと検証する必要があります。
ただ、現実的には、審査員が、
・そのサービス業の組織の強みや競争力の源泉が何か
・組織の設計・開発に該当する活動にはどのようなものがあるか
といったことを想像できなければ、組織の主張をそのまま鵜呑みにしてしまうことになるでしょう。
そもそも、製造業であれば、「設計開発部門」といった部門がありますから、製品設計に関する部門審査をすれば、半ば自動的に、「設計・開発プロセス」が規格要求事項に適合しているか否かを検証できます。
しかし、サービス業においては、「設計開発部門」というような名称の部門は、通常は存在しません。
また、そもそも「設計・開発」という用語も馴染みがありません。
例えば、レストラン(飲食サービス業)において、「設計・開発」といえば、「飲食メニューの開発」を誰もがまずは思い浮かべ、設計開発のアウトプットとして、「レシピ」を想像するでしょう。
しかし、そのレストランのサービスの強みや顧客満足向上のポイントが、例えば、
・店内の雰囲気
・接客サービス
・居心地の良い店内環境
・立地など利便性
などであるとすれば、そういったことを企画する活動は「設計・開発」になります。
したがって、「うちは、単なる昔ながらの定食屋です。調理方法が確立した定番メニューしかありません」というレストランであったとしても、「居心地のよい店内設備の整備や接客ポリシー」はあるでしょうから、「設計・開発を適用不可能」とできる可能性は、殆どないと考えて検証するべきだと思います。
私の勝手な想像ですが、組織も認証機関も「設計・開発」をできるだけ適用したくない本音があるとしたら、その理由は「審査工数(審査費用)」ではないかと思います。
審査工数の算定プロセスで、設計・開発の適用の有無が影響する認証機関が殆どだからです。
私見ですが、審査工数算定のインプットとして「設計開発の適用・不適用」を考慮するのは止めるべきだと思います。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ732号より)
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