組織の仕事の仕組み(マネジメントシステム)が国際規格に適合し、有効に機能しているかを第三者が審査し、世間に公表するISOマネジメントシステム認証制度がある。
このISOマネジメントシステムについて、最近、個人的に気になっている点を備忘録代わりに、何回かに分けて少しまとめておきたい。
今回のテーマは、「認証組織に該当する経済活動分野」について。
ISOマネジメントシステム認証の品質、環境マネジメントシステムの場合、経済活動分野を大きく39分野に区分しています。
認証機関を認定している公益財団法人日本適合性認定協会(JAB)のウェブサイトをチェックしていると、「審査登録範囲」と「経済活動分野」の整合性が懸念されるものがいくつかあります。
・JABのウェブサイト
https://www.jab.or.jp/system/iso/search/
感覚的ですが、最近、よく目にするのが、大企業のグループ認証です。
大企業の製造メーカーの場合、ホールディングス組織、研究開発組織、製造メーカー組織、物流子会社、販売子会社、不動産部門・・・などがあります。
元々はそれぞれの組織単位で認証取得をしていたのですが、打算的な捉え方としては、一般論として、1社1社毎の認証を受けるより、グループ全体で取得した方が、認証コストが安い、という側面があります。
また、「グループ企業対社会(消費者等)」という視点でとらえれば、グループ組織として、ひとつのマネジメントシステム組織として統括管理し、認証取得するのは、本来の姿かもしれません。
ただ、「審査登録範囲」は、「構築されたマネジメント組織が提供する製品・サービス」という観点で「審査登録範囲」を明確にする必要があります。
しかし、もともと、各社で取得していた時の「審査登録範囲」をグループとして認証取得する場合、「そのまま各社の審査登録範囲を足し合わせただけの表記」になっているケースがあるのです。
例えば、物流子会社が、グルブープ各社の物流業務を担っている場合、その物流子会社の審査登録範囲は「物流サービスの企画及び提供」といった表記になります。
しかし、グループ組織全体で認証取得する場合は、「単なる物流部門」ですから、「審査登録範囲」ではなくなります。
このあたりの認識について、認証機関と組織の理解が不十分だと、「適切な審査登録範囲」の表記とはならないでしょう。
また、グループで取得すると、「グループの統括管理」や「○○の研究開発」といった表記も「審査登録範囲」の表記として登場してきます。
仮に、これらを「製品・サービス」として捉えるのなら分野35や34の割り当てをしなければなりませんし、単なる組織内部のプロセスであれば、「審査登録範囲」には表されません。
一般的に、認証書には、「審査登録範囲」と「各事業所(またはサイト)のサイトスコープ」を表記するケースが多いです。
「審査登録範囲」は、マネジメントシステム組織が提供する製品・サービスですが、「サイトスコープ」は、そのサイト(事業所)の活動を表記するので、サイトスコープには、物流子会社のケースであれば、「物流サービスの企画及び提供」と表記はできるでしょう。
また、本社(HD)部門や研究開発部門のサイトスコープに「グループの統括管理」や「○○の研究開発」といった表記は可能です。
認証機関は、担当審査員、営業部門、そして組織に、しっかりと、このような考え方を周知させて、社会に適合組織の表明と公表をして欲しいものだと思います。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ735号より)
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