2021年4月5日付けの朝日新聞デジタルが、

「教員免許、うっかり失効相次ぐ 50代教諭が新卒扱いに」

という見出し記事を報じていました。

 

記事によれば、(※筆者編集)

◆教員免許の更新を怠ったために、教員が失職する事例が相次いでいる

◆2020年度に免許を失効し、すぐに再取得した教員は少なくとも24人いた

◆「うっかり失効」の原因は、2009年度に始まった更新制度の理解不足

◆再び教壇に立てる保証はなく、学校現場にとっても大きな負担になっている

◆文科省は教員免許更新制の見直しを検討している

ということだそうです。

 

この記事で紹介されていた事例では、熊本市の市立小学校に勤務していた50代の主幹教諭(役職的には、校長、教頭に次ぐナンバー3のポジション)の教員免許失効が2020年11月に明らかになったそうです。(免許の期限は2020年9月末)

現行法では、主幹教諭は、更新講習を免除される対象者ですが、講習免除のために必要な事前申請を熊本県教育委員会に届けていなかったそうです。

 

結果的にこの男性は、失職し、退職金が支払われ、その後2020年12月までに約30時間の更新講習を受講して、免許を再取得し、現在は、別の学校の臨時教員として勤務しているそうです。

しかし、待遇面では、新卒と同じ扱いになってしまうそうで、現状は、救済措置もないそうです。

 

私の記憶の範囲ですが、教員免許更新制は、第一次安倍内閣の時に発案された制度です。

確か、教員の不祥事が相次ぎ、更新制度の必要性が社会的にも(マスメディアの影響かもしれませんが)高まったように思います。

 

確かに、ふつうに考えれば、自動車運転免許も更新制度があるように、力量の維持向上を図る仕組みがない資格制度は、今の時代、望ましいものではないでしょう。

ただ、この記事を見て、教員更新制における更新講習を受講した人の評判をネットでいろいろと調べましたが「講習会の有効性は薄い」ようです。

そもそも、講習会の講師である教育系大学の先生が「意味のない制度」と捉えている方が多いようです。

 

つまり、教員免許更新制の理念自体は、悪いものではありませんが、

・講習受講により教員の資質向上に繋がっていない(相変わらず不祥事は多い)

・講習内容は受講者にとって「新たな学び」になったと考える人が少ない

・現役教員にとって約30時間の講習会受講は負担が重い

・自動車運転免許のように、免許の有効期限通知があるわけではない

といった改善点があるようです。

ものごとの見方・考え方として、「制度の理念は正しい」しかし「制度の目的を果たしていない仕組み」であれば、「即座に改善する」ことがものの道理です。

記事にもあるように、文科省は早めに制度を見直しするべきでしょう。

 

ちなみに、「更新講習」の「受講対象者」は、

・教員、採用内定者

・過去に教員として経験がある者

・臨時任用(または非常勤)教員リスト登載者 など

で、

・過去に教員経験がない有資格者

は、受講対象者でないため、講習会は受講できません。

私は、大学院生時代(教員免許は学卒で取得していた)に大学の付属高校のパソコン実習の授業を1年間ですが受け持った経験があります。

今後、高校の教員をする予定はないので、実務上の問題はないですが、現行法の「受講対象者」に相当するのか、否かは不明です。

 

更新講習は、調べてみると通学コースだけでなく、通信教育もあるようで、受講料は数万円。

私たちが通常受講する各種の講習会やセミナーより、「価格だけ」で捉えると割安な印象です。

コミュニケーションスキル向上に繋がる講習内容であれば、今の仕事であるコンサルや監査の仕事に役立てられそうですが、でも普通に別の講習会受講をした方が良さそうですね。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ745号より)
 

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