2021年3月30日付けの京都新聞が、
「誤って遺骨の大半を集じん機で吸引 遺族ら賠償求め京都・宇治市を提訴」
という見出し記事を報じていました。
記事によれば、
◆京都府宇治市斎場で、2020年11月に火葬作業のミスが発生した
◆ミスは、遺骨を遺族が拾う前に、職員が骨の大半を集じん機で吸引していた
◆遺骨を失ったとして遺族3人が斎場を設置する宇治市に対して訴訟を起こした
◆訴えでは、損害賠償額は計3300万円
◆遺骨は高温で燃焼するためDNA鑑定による判別はできない
◆集じん機に設置されたバルブを通る際に遺骨は細かくなり、形状の判別も難しい
◆業者の代理人は、「遺骨を選別してお返しするなど誠意を持って対応する」という
ということだそうです。
普通に考えれば、
・火葬作業者の力量は明確になっており、力量あるものが作業していたのか
・火葬作業手順のミスはなぜ発生したのか
・火葬作業手順をミスした際のバックアップ体制手順はあったのか
・これまでに同様の業務ミスは発生していたのか
・宇治市の指定管理者選定プロセスに問題は無かったのか
・宇治市は、火葬業務のトラブル想定と対応手順はあったのか
・宇治市に、火葬場設備に関するリスクと改善の認識はあったのか
・・・
といった点が気になります。
宇治市斎場のウェブサイトを確認すると、
「日本管財・五輪グループを宇治市斎場指定管理者として指定し、業務を委託しています」
という記載があります。
つまり、宇治市斎場は、宇治市の公営施設ですが、実質的な斎場の運営管理は「日本管財・五輪グループ」です。
では、「日本管財・五輪グループ」とは、どんな組織なのか、調べてみると、
・日本管財株式会社(東証一部上場企業)
・株式会社五輪(主な業務は、全国斎場の運営及び管理、設備保守管理)
となっています。
正確にはわかりませんが、日本管財(株)と(株)五輪で「共同企業体」を組んで、宇治市斎場の指定管理者業務を受注したのかもしれません。
宇治市斎場における今回の「火葬業務ミス報道」は、全国ニュースでも報じられていますが、私が確認した範囲では、日本管財および五輪のウェブサイトでは、全く、今回のニュース報道に関する謝罪、今後の対応等について触れられていません。
五輪のウェブサイトでは、以下のような記載があります。
(ウェブサイトより)
《発生した問題は、二度と繰り返さない》
斎場での業務は「万が一」があってはなりません。私たち五輪は、各斎場で発生したトラブルの解決策を共有し、二度と同じトラブルが発生しないよう地域別、全社的な研修を行っています。また技術面、運営面の講習を行い、各斎場の業務に反映させています。
(引用、ここまで)
ウェブサイトの言葉尻を捉える言い方になってしまいますが、火葬場業務は、
「二度と同じトラブルが発生しない」
といっても、公営斎場における委託業務ですから、「業務に人が介在する以上」、トラブル発生確率は減らすことができても、「ゼロ」は無理です。
今回のように「遺骨」は「唯一無二」で、焼いてしまえば、DNA型がわからないので、要は「遺骨自体の識別は不能」です。
したがって、遺骨を識別するには、「集塵機で吸い取る前に遺骨を骨壺に収める段階」しかありません。
つまり、残りの遺骨(骨のかけらや骨灰)を集塵機で吸い取ったら「その他の人の骨と混ざり、どうしようもない」のです。
だからこそ、業務ミスをした場合のバックアップ体制、例えば、
『集塵機で吸い取る際は、吸い取った骨灰が前の人の骨灰と混じらない仕組み』
にするなど、改善が必要なのです。
(株)五輪は、ウェブサイトを見る限り、斎場の運営管理の業務経験は数多いようですが、なぜ、このようなの問題が発生したのか、しっかりと検証し、公表して欲しいものです。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ744号より)
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