組織の仕事の仕組み(マネジメントシステム)が国際規格に適合し、有効に機能しているかを第三者が審査し、世間に公表するISOマネジメントシステム認証制度がある。

 

このISOマネジメントシステムについて、最近、個人的に気になっている点を備忘録代わりに、何回かに分けて少しまとめておきたい。

 

今回のテーマは、「サイトサンプリングを使った複数サイト組織の審査の方法論」について。

 

ISOマネジメントシステム認証制度では、「審査ではサンプリング手法を使って審査する」ことになっています。

会計監査や法令で定められた設備点検については、「確認項目すべての適格性」の担保が求められています。

しかし、マネジメントシステム認証の場合は、組織が認証範囲を限定している場合ももちろんありますが、審査の対象が「会計データ」や「設備の機能」といったように「ある部分に特定」されず、幅広いことと、認証の対象が「マネジメントシステム(経営管理の仕組み)の適合性」なので、「日々発生する記録やデータ」や「類似したプロセスの手順」については「サンプリング」で審査を実施するのです。

 

「日々発生する記録やデータ」の事例でいえば、顧客との契約書や製品検査の記録は、「全て確認する」としたら膨大なので、審査員が自ら記録を指定し「サンプリング」で確認します。

 

また、「類似したプロセスの手順」は、製造工程が、5ラインあった場合、「型番が違うだけ」などの場合は、工場全体をぐるっと巡回はすると思いますが、実際に聞き取りするのは、1~2ラインでしょう。

 

組織によっては、サイト(業務活動拠点)が複数存在する場合もあります。

例えば、自動車販売会社の営業拠点のような「複数拠点」は、活動が類似しているので「サンプリング」できるでしょう。

複数サイトでサンプリングがダメなパターンは、言わずもがなですが、各サイトが非常に類似したプロセス/活動」ではない場合です。

 

「ポイント」は、「類似したプロセス/活動」です。

ある組織のサイトが、

・本社

・全国各地の営業拠点となる15カ所の営業所

・製造拠点が5カ所

というようなケースを考えます。

 

「ざっくり解説」ですが、この組織が「照明器具の設計製造」であれば、おそらく、「営業所」と「製造拠点」をいう「2つの群」でサンプリングを実施しても問題ないでしょう。

しかし、この組織が、「照明器具の設計・製造」と「建設用金具の設計・製造」を実施し、営業所と製造拠点の対象製品が異なっていれば、「営業所と製造拠点」という「2つの群」でのサンプリングは無理で、プロセス/活動の類似性で細分化し、サンプリング群は、2つ以上になるでしょう。

 

議論になりそうなのが、「同じ産業分類」の場合の「類似性」をどのように判断するか?です。

例えば、ある組織(本社と10カ所の支店)の製品/サービスが「建築及び土木構造物の設計、施工」となっていた場合です。このケースで、支店の活動が「建築及び土木」、「建築のみ」、「土木のみ」の場合、「1つの群でサンプリングはよい」とする考え方と「3つの群でサンプリングするべき」という考え方が出てきます。

このあたりの考え方は、認証機関が「審査および発行した登録証の信頼性の程度」をどのように考えるかに関わってくるのでしょう。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ711号より)
 

【好評発売中!】
『ISOの復権 マネジメントシステム認証制度が社会的価値を持つために必要なこと

(ブイツーソリューション刊)

http://www.v2-solution.com/booklist/978-4-434-26285-2.html

 

“できるビジネスマンのマネジメント本”(玄武書房)

https://www.amazon.co.jp/dp/4909566066/

 

【よかったらメルマガ読者登録お願いします♪】
(パソコンでアクセスしている方)

http://www.mag2.com/m/0000218071.html
(携帯でアクセスしている方)
http://mobile.mag2.com/mm/0000218071.html
Twitter:https://twitter.com/ariga9001