2021年3月30日付の東洋経済オンラインが、

「厚労省官僚「銀座で0時頃まで23人宴会」の唖然」

という見出し記事を報じていました。

 

記事よれば、

◆2021年3月24日に、厚生労働省の官僚たちが23人で深夜まで会食をしていた

◆この日は、二度目の緊急事態宣言が1都3県で解除されてから、わずか3日後

◆会食場所は、最大級の繁華街、銀座の居酒屋

◆宴席は19時過ぎから始まり、最終的には、0時を過ぎていた

◆厚労省によれば、この宴会は人事異動に伴う送別会だった

そうです。

 

ご存知のように、政府は、2020年3月28日に「感染リスクが高まる5つの場面」に該当するような行動は避けるよう国家公務員に指示している。

5つの場面をおさらいすると、

1)飲食を伴う懇親会等

2)大人数や長時間におよぶ飲食

3)マスクなしでの会話

4)狭い空間での共同生活

5)居場所の切り替わり

です。

また、政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長は、「5人以上の飲食を避けること」を国民に呼びかけています。

 

つまり、3月24日の厚労省職員の宴席は、政府が国家公務員に指示している5つの場面の中の1)~3)に該当し、また、尾身会長が国民に呼びかけしている「5人以上の会食を避ける」ことにも反しているわけです。

 

もちろん、罰則規定があるわけではありません。

しかし、国家公務員、しかも、新型コロナウイルス対策の主たる省庁の厚労省職員が、率先して国民に模範行動を示すべきと思います。

また、堂々と公の飲食店で、しかも、時短要請されている飲食店で深夜まで宴席を開催していたのですから、多くの国民は、「またか」と思うとともに「日常生活のたがが緩む」のは当然でしょう。

 

不思議なのは、緊急事態宣言が開けて、人の行動が活発になり、感染者数(正確にはPCR検査陽性者数)が増えてるとはいっても、殆どの国民が大人数での会食はしていません。

なぜなら、時節柄、人事異動、花見、卒業式・入学式シーズン・・・といっても、宴席を主催する人(幹事)はもちろん、参加を呼びかけられても、大人数になる集まり自体を関係者が「自粛」するからです。

 

また、仮に、5人以上の飲食を伴う集まりで、新型コロナのクラスターが発生すれば、世間から白い目で見られ、その参加者が有名人や有名組織であれば、組織や関係者は、マスメディアから大きく叩かれ、大迷惑を掛けることになるからです。

 

つまり、ふつうは、

a)大人数の飲食を伴う集まりを関係者で互いに自粛する仕組み

b)クラスターが発生した場合に想定される影響を関係者が理解し、自粛する仕組み

が働くのです。

 

しかし、厚労省では、このa)、b)の仕組みが全く機能していなかったのです。

今回の宴席の参加者の構成がわかりませんが、宴席を上司が指示したとしても、このご時世ですから、「異動の時期で送別会をやりたいところだけど、止めておこう」とふつうはなります。

おそらく、今回の東洋経済オンラインの報道を受けて、政府は、「職員に対する周知徹底をさらに強化する」といった発表をすると思います。しかし、この「一般社会なら歯止めが利くことが官僚の世界ではなぜできないのか」の「真の原因」を究明して対応しなければ、また、同様の問題は起きるでしょう。

 

私は、「役人世界は本音と建て前が明確過ぎるから」という問題が背景にあるのではないかと思います。

つまり、政府が公務員に対して行動規範を呼びかけても

・行動規範はあくまでも建前で、現実は違う

・注意して行動すれば、罰則が無いルールは破っても問題ない

・ルールさえ決めておけば、とりあえず国民にしめしがつく

・・・

といった思考回路が「公務員脳」としてできあがっていて、「誰ひとりとして止めた方がいい」と本気で思わなかったのではないかと思います。

 

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