2021年3月17日に、札幌地裁が「同性婚を認めないのは憲法に違反する」という判決を初めて出したそうです。
各メディア情報から、この判決の概要を筆者がまとめると以下の通りです。
◆この裁判は、北海道に住む同性カップル3組(6人)が政府を相手取って訴えていた
◆訴えは、同性結婚を認めないのは憲法に反するとして起こした損害賠償訴訟
◆札幌地裁は、
・婚姻によって生じる法的利益の一部すらも受けられないのは差別的
・国会で同性カップルの保護について議論がされるようになったのは最近
・政府が、憲法違反の状態であると直ちに認識するのは容易ではなかった
・政府が、同性結婚を認める立法措置をとらなかったことは違法とはいえない
したがって、賠償請求は退けたが、日本において同性婚を認めることを要求した
◆裁判資料によると、現在世界では29の国や地域で同性婚が認められている
◆日本では78の自治体が同性カップルを公的に認める「パートナーシップ制度」を導入
よく知られている「結婚して得られる権利」の代表格は、
◆財産分与請求権(民法768条)
◆相続権(民法890条)
です。
ちなみに、「結婚により生じる義務」は、
◆同居、扶助義務(民法752条)について
◆婚姻費用分担義務(民法760条)について
◆日常家事債務の連帯責任(民法761条)について
◆貞操義務(民法770条1項)
◆未成年の子の監護義務(民法820条)
などです。
少々、哲学的になりますが、「婚姻とは何か」と考えると、一般的には、
・大好きな人といつも一緒にいられるということ
・安心感を得られること
・支え合える家族ができるということ
・子どもを産み育てるということ
・金銭的な安定をえること
・・・
などが挙げられるでしょう。
婚姻の基本は「こどもを産み育てること」という概念が強い人は、「そもそも、同性婚は、こどもを産むことができないのだから婚姻の定義からそれている=同性婚は認められない」と捉えるでしょう。
しかし、「一緒にいられる」、「精神的な安定をえられる」、「経済面以外を含めて生活を支え合う」といった概念を「婚姻」と捉えれば、「婚姻とは、異性間でのみ成立するもの」という考え方は、差別的で、社会において不公平です。
また、財産分与請求権や相続権が認められないというのも、札幌地裁が今回の判決を下したようにおかしなことでしょう。
ただ、LGBT事情に明るくないので、適当なことは言えませんが、「同性婚の成立要件」をどのように基準を定めるのか、ということも併せて議論するべきではないかと思います。
たとえば、「人を愛する」という感情は、性的指向を伴わない感情としてもあると思います。
つまり、「同性愛者ではなくても同性婚は成立するか否か」という議論も必要でしょう。
現在、社会で議論されている同性婚の前提は、「性的指向の違い」ですが、「一緒にいたい」、「一緒に生活を支え合いたい」などということを婚姻の前提とするならば「同性のお友達カップル=婚姻成立」となりますし、それも婚姻として認めなければ、おかしい。という議論も生じるでしょう。
ただ、その場合は、私の現在の価値観では、「それは何か変だな」という気がします。
「婚姻」の定義は、文化、習慣によっても捉え方が違うので、「生物多様性」というグローバルスタンダードは意識しつつも、「日本社会としてどのようにあるべきか」今回の判決が、「婚姻とはどうあるべきか」の議論のきっかけになることが重要だと思います。
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