2021年2月9日に、マスメディアが、一斉に、新型コロナのワクチン接種に関する厚生労働省の発表を報道していました。
その厚労省の発表とは、
・接種が近日中に開始される予定の製薬大手ファイザー製のワクチン
・このワクチンについて、1瓶からの接種回数を6回から5回に変更する
・用意した注射器では充填したワクチンの一部が使い切れずに残ってしまうため
・近々、自治体向けに新たな接種手順を示す
・7200万分を想定する接種可能人数が減る恐れもある
・厚労省は、ファイザーと協議するとしているが、現状は不明としている
ということです。
ワクチン接種開始前に気づいているので、まだ、マシですが、そもそも、ファイザー社へのワクチン供給契約のプロセスにおいて、
・7200万人分の必要量をどのように注文したのか
・ファイザー社と、1瓶あたりの接種人数の条件を確認していたのか
といったことをしっかり検証するべきです。
また、そもそも、今回のワクチンは、保存温度や輸送条件(激しく揺れる)が厳しく、いわゆる「ロス率」をどの程度、想定して発注しているのかも不明です。
それにしても、ファイザー社のワクチンの瓶には、そもそも「5回分」と明記されており、「6回分」がどのように一人歩きしたのでしょう。
6回分が接種できる注射針は、特殊なもので、通常の注射針では5回になってしまうなら、厚労省は、「1瓶から6回接種できるための必要な資源」を把握していなかった恐れがあります。
つまり、マネジメントシステム的に捉えれば、「設計検証」や「設計の妥当性確認」が不十分だったわけです。
例えば、
・標準的な医師
・作業環境
・ワクチン容器と同じサイズの瓶
・注射針
などを用意してシミュレーションすれば、7200万人分に対して必要なワクチン瓶数がすぐに検証できたはずです。
同じような話題として、新型コロナウイルス対策のスマートフォン向け接触確認アプリ「COCOA」の不具合が約4か月放置された問題があります。
ご存知の方も多いと思いますが、このCOCOAは、
・陽性と判明した利用者が保健所から発行された処理番号をスマホに入力する
・その人と過去14日以内に接触があった利用者に通知が行く
・接触条件は「1メートル以内に15分以上」
・COCOAの開発は、東京のIT会社が約1億円で受注し、下請け計3社に再委託
・2020年9月に、プログラムを改修した際にミスがあり、通知されない状態となった
・アプリ開発会社はコンピューター上でアプリの動作を限定的に模擬的なテストを実施
という状況だったのです。
つまり、「ソフトを修正した際に、実際のスマホを使って、利用者に通知されるか」を確認していなかった(設計の妥当性確認)訳です。
厚労省は、どのような条件で、受託者選定基準を決めて、再委託基準を決めていたのか不明ですが、「マネジメントシステムの原則」にしっかりとしたがった業者に発注されていたなら、ミスが起きるリスクは低かったと思います。
2月10日付けの読売新聞は、厚労省は専門チームで経緯を検証する方針だそうですが、公共発注基準には、「マネジメントシステム認証組織」であることを最低限の発注基準にするべきだとつくづく思います。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ737号より)
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