私が商業出版で本を出版した時の昔話です。
この頃は、企画書をたくさんの出版社に送りました。
たいていは、なしのつぶてで、連絡はありません。
パターンとしては、
・まったく連絡なし
・「貴殿のご活躍を祈念します」系の「お祈り」メール
・うちの企画方針に内容が合わない
・○万円出してくれれば共同出版できる
という感じです。
商業出版で出してもらったある本の場合は、「一度、社に来てもらえますか?」と連絡があり訪問すると、「いただいた企画では、うちの企画会議に回せません。このような内容で原稿は書いてもらえますか?」と逆に企画を提案されました。
企画を見ると、私が読者だったら、確かに読みたくなって本屋さんで手に取るだろうな、という企画。
少し自信はなかったですが、とにかく商業出版して欲しい私としては必死でしたので、「はい、書けます」と伝えました。
その後、出版社の企画会議を通り、なんと、発売日も決まりました。
初版が1万5千部といわれ、印刷会社への入稿日、印刷・製本日等も決まっているから原稿提出日等のスケジュールは遵守してください、といわれました。
頑張って企画書にそったつもりの原稿を提出すると、担当の編集者から「これでは、出版できない。こういう内容で書き直しをお願いします」と連絡がありました。
書き直しのボリュームとしては、完成した本が、約260ページあるのですが、そのうちのおおよそ、文字数にすると10万字、ページ数で130~150ページ分です。
しかも、納期は、書き直しの指示が出てから、約2週間後。
ちなみに、私の人生の中で、「短期間に寝る間を惜しんでめちゃめちゃ頑張ったのは何ですか?」と問われれば、
・大学院の修士論文
・商業出版した本の書き直し
です。
このふたつに関しては、前者が、40才過ぎまで、後者が、出版後5~6年後まで、年に数回は「締め切りまでに書き上げられなくて、どうしよう」と困っているシーンで目が覚めるパターンがありました。
話題を「書き直しさせられた商業出版」の話題に戻しますが、結果的に、私はなんとか編集者に原稿を提出しました。
その1週間後ぐらいに、「編集できたので見てください」と連絡がありました。
すると、「えっ?!」なのです。
確かに、全て私の書いた原稿なのですが、本の構成がガラッと変わっているのです。
詳細は省きますが、私がこのとき理解したのは「商業出版では、編集者は、映画に例えれば、監督さんなんだ」と言うことです。
書き手の私は、映画に例えれば、主演俳優で、監督が作品を通じて伝えたいことを演じているに過ぎないのです。
編集された原稿の中で、専門用語については、修正依頼しましたが、それ以外は、「その通りだけど、多少、デフォルメされている」部分は、「学術論文や専門書ではない」ので、編集してもらった原稿のママにしました。
つまり、テレビドラマに例えれば、原作が私で、脚本は編集者ですから、「うそのない範囲で編集者さんのやりたいようにやってください」という気持ちでした。
仕事を通じて、私の「インタビュー記事」が雑誌や新聞に掲載されたことが何度かありますが、基本的に、私は記者や編集者から「原稿を見てください」と言われても、まったく事実と異なる内容でなければ、ほとんど修正依頼をしません。
その理由は、編集者の取材対象者への確認は「正確性の確認」ではなく「掲載の許諾確認」
がメインだと思うからです。
ここで、「こんなこと言っていない」・・・などと多くの修正依頼をするようでは、おそらく、次に私の専門に関するインタビューの話があっても、お声は掛からなくなるでしょう。
したがって、テレビのワイドショーの「コメンテイタ-」や新聞、雑誌で「○○に詳しい××さんによると」に頻繁に登場する人は、メディア側の作り手の意図にそって役割を演じているわけです。
つまり、視聴者や読者に登場を期待され、ファンが多い人を除き、作り手側の意図に沿わない自説を主張し続ければ、くび(話が来ない)になるのは、当然です。
要は、月並みですが、メディアの情報で比較的正確なのは、例えばニュースなら、日時や会社名や氏名、記者会見や事件・事故の「わかった事実」だけで、それ以外は「記者や編集者のバイアスがかかってる」と思って捉えることが大事です。
きっと政治評論家のスシローこと田崎史郎氏は「時の政権のスポークスマン」と言われますが、テレビメディアで生きる道として、その役割に徹しているのかもしれません。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ728号より)
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