2020年12月10日付けの東京商工リサーチが、
「売上総利益率は計画比で1.9p、売上総利益は2.7%上回り改善傾向」
という見出しの記事を掲載していました。
記事によれば、
◆12月10日、大塚家具が2020年5-10月の決算(非連結)を発表した
◆「ヤマダデンキ」と連携した家電や家具販売が伸び、業績に改善の兆しが見えている
◆12月1日に退任した大塚久美子前社長の役員退職金を支給しない方向になっている
◆2021年4月期の業績予想は、売上高304億2000万円(前年同期間253億2300万円)
◆営業利益26億円の赤字(同59億2700万円の赤字)
◆当期純利益28億9000万円の赤字(同60億900万円の赤字)
◆来期の黒字化に向け一歩前進している
という状況だそうです。
数字としては、「大塚家具は黒字化に向かっている」といえますが、今のままだと「売上げは頭打ち」ではないかと私は考えます。
そもそも、顧客層がヤマダ電機と大塚家具では違います。
言わずもがなですが、ヤマダ電機は、家電量販店、大塚家具は、高級家具店です。
家電量販店と家具屋のコラボで成功するとしたら、大塚家具というより、IKEAやニトリでしょう。
引っ越しする際に、家電と家具を新調したいけど、できるだけ安価に揃えたい、と考えれば、家電量販店とIKEAやニトリのコラボは、成功するかもしれません。
高級家具の大塚家具の業績は上向いているそうですが、これは、「コラボによる相乗効果」というより「大塚家具の売り場に家電売り場ができて売上げが増加した」というものではないかと思います。
家具を購入すれば、それに合った家電も欲しい層はいるので、売り場に家電があれば、家具の配送・据付に合わせて、古い家電を処分し、新しい家電を家具と一緒に持ってきてもらいたいというニーズは、間違いなくあるでしょう。
ただ、それだけでは、売上増は頭打ちで、大塚家具の顧客層が期待する家電をメーカーに作らせるといった商品提案が必要でしょうし、接客に関しても富裕層に対する接客スタイルを変えていく必要があるはずです。
それにしても、今更ですが、大塚家具の「お家騒動」とはいったい何だったのでしょう。
組織は絶えず継続的な改善をしながら、進化し続ける存在であるのは間違いありません。
数字で捉えると、2015年決算の段階で、売上高は580億円あったのに、2020年決算は、253億円と激減です。
ざっくりおさらいすれば、創業者の大塚勝久氏の戦略は、「会員制」の販売形態です。
大塚家具の会員制とは、入店の際に顧客ファイルを作成し、そのファイルを持った店員が顧客と一緒に店内を回るという接客・販売スタイルです。
それに対して、大塚久美子社長(当時)は、家具業界をニトリやIKEAが席巻するようになり、創業者の築いた「会員制」が時代に合わなくなったと考え「入りやすく、見やすい、気楽に入れる店作り」の戦略に転換しました。
しかし、大塚家具の顧客層は、
・新婚家庭の背伸び買い
・富裕層の高級家具購入
に支えられていると言われています。
久美子氏の「気楽に入店できるお店づくり」では、来店数は増えますが、新婚家庭や富裕層は「それなりのレベルの家具」を比較して探しており、定員にプッシュされることで購入に至り、さらに、会員制による顧客ファイルがあることで、店員が客の属性や生活スタイルに合った家具を次から次へと提案し、売上げになるのです。
結果論ですが、久美子社長の「戦略仮設」は間違っており、それを進言した創業者の勝久氏を排除し、数々の経営立て直し策は、ほぼ全て失敗に終わりました。
余談ですが、久美子社長は「キャンペーン」もたくさん実施しましたが、GoToキャンペーンと一緒で、一時的な売上げ回復にはなれど、これまでの大塚家具の成功を支えてきた顧客層の足はさらに遠のきました。
大塚久美子前社長に役員退職金が支払われないのは、当然でしょう。
・企業の売上げが落ちた原因分析のミス
・原因分析のミスにより戦略仮設が間違っていた
・間違った戦略ミスを指摘した創業者を排除した
・大株主の米国の投資ファンドが久美子社長側についた
・大塚家のきょうだいの多くは久美子社長を支持した
・・・
振り返ると、時計の針を巻き戻すチャンスは何度もあったのかもしれません。
経営を研究している学生、学者にとっては、良い題材になったのかもしれませんが、株主や従来の顧客にとっては、久美子社長が「大戦犯」であることは間違いありません。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ728号より)
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