組織の仕事の仕組み(マネジメントシステム)が国際規格に適合し、有効に機能しているかを第三者が審査し、世間に公表するISOマネジメントシステム認証制度がある。

 

このISOマネジメントシステムについて、最近、個人的に気になっている点を備忘録代わりに、何回かに分けて少しまとめておきたい。

 

今回のテーマは、「適用範囲の検証」について。

仕事仲間と「適用範囲の適切性や適用不可能な要求事項」の検証について、議論しました。

 

【適用不可能な要求事項】

組織が適用不可能としている「定番」は、「8.3設計・開発(QMS)」です。

この要求事項を適用不可能とする理由としてよく「品質マニュアル」等に記載されているものは、

事例:

「発注者の設計に基づく製造であり、設計部門を必要とする業務がないため適用除外とする」

「顧客が設計した仕様に基づき施工を実施する業務のため、当社に設計責任は生じないため適用不可能とする」

・・・

といったものが多いです。

 

検証するべきポイントは、ぱっと思いつく範囲でも、

建設業の場合だと、

・民間建築、土木工事の場合も「設計業務」は生じないのか

・社内に「建築士」資格者がいるか

・「建築事務所登録」を都道府県にから受けていないか

・VE提案を発注者にする場合はないか

・施工工法の開発はないか

・・・

といったことの検証が必要でしょう。

製造業の場合だと、

・設計実務は外注であるが、製品仕様を提案するケースはないか

・メインの製品は設計していないが、付属品やパッケージの設計はどうか

・工程の開発、製造効率、製品品質を向上させる工程設計はあるか

・・・

といった検証が必要でしょう。

(※いわゆる「工程設計」を8.3設計・開発とするか、その他の要求事項で管理するかは、組織と認証機関の判断次第ですが、一般論のポイントとして考えることにします)

 

【適用範囲の適切性】

適用範囲については、「製品・サービスの表記」、「サイトの表記」の2つがあります。

「サイトの表記」については、常設サイトなのか一時サイト(記載する場合)なのかが明確であればよく、さらには「サイトでの活動」が明確になっているかどうかを検証すればOKです。

 

議論になりやすいのは「製品・サービスの表記」でしょう。

品質マネジメントシステムの場合は、例えば、組織活動として「10の製品」があったとしても、「マネジメントシステムを適用させるのはそのうち1~7で8~10は含めない」と組織が明確にすれば、その区分けに客観的な正当性があれば、問題ありません。

(※まれに、生産量が多いのに対象にしていないケースがあり、それは、一般的には適用範囲としない正当性を欠く可能性があります)

環境の場合は、なかなかそうはいきません。

なぜならば、「同じサイトで、品質で対象にした1~7と対象外の8~10を製造してる」というケースであれば、範囲を切り分けることが難しいからです。

つまり、基本的には、すべての製品が対象になってくるでしょう。

また、企業では、取引先とのしがらみや自社不動産の有効活用という観点で「副業」をしているケースもあります。

例えば、自動車販売業や修理工場における損害保険の販売や自社ビルの空きスペースの賃貸です。

これらの「副業」を「製品・サービス」と捉えるか「単なる活動」と捉えるかは、まずは「組織がどのように捉えているか」だと思います。

売り上げは小さくとも「製品・サービスとして営業~企画~サービス提供管理~継続的改善をしっかりマネジメントする」ということであれば、適用範囲には「製品・サービス」として表記しておくことが必要です。

しかし、「単なる活動です」であれば、「適用範囲の文言には表記せず、例えば、環境側面の特定、関連法令の特定、その活動の管理状況等を検証する」ことで十分ではないかと思います。

 

適用範囲や適用不可能については、さまざまなケースがあるんで、気づいた点は、また、取り上げていきたいと思います。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ716号より)

 

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