組織の仕事の仕組み(マネジメントシステム)が国際規格に適合し、有効に機能しているかを第三者が審査し、世間に公表するISOマネジメントシステム認証制度がある。
このISOマネジメントシステムについて、最近、個人的に気になっている点を備忘録代わりに、何回かに分けて少しまとめておきたい。
今回のテーマは、「各サイトに要求される専門的力量」について。
IAF(国際認証フォーラム)の基準文書であるIAF MD1:2018(複数サイトの組織が運用するマネジメントシステムの審査及び認証のためのIAF基準文書)の要求事項に、以下の規定があります。
(以下、MD1より引用)
IAF MD1:2018 7.2.3
いずれの時点においても、複数のメンバーからなる複数の審査チームを使用する場
合、審査の各部分及び各サイトに要求される専門的力量を特定し、かつ、審査の各部分
に対して適切なチームメンバーを割り当てることは、チームリーダーと共に認証機関の
責任でなければならない。
(引用ここまで)
つまり、
・認証チームの編成が複数である場合
・各プロセスや各サイトの審査が担当できる専門的力量を明確にしなさい
・適切なチームメンバー配置は、チームリーダーと認証機関の責任です
という意味の規定です。
一般論として、例えば、審査対象組織が、「金属加工業」、「電気製品製造業」、「建設業」であれば、それらの業種の業務経験や製造プロセスを含むコンサルティング経験、あるいは、審査経験等により、認証機関は「専門的力量」を特定します。
そして、機関が登録している、各審査員の経歴等を評価して、専門的力量を付与し、付与された専門的力量に基づき、認証機関は、チーム編成をしています。
審査対象組織が、上記にあげたような分野で、かつ「単一の分野」であれば、審査員が複数の審査チームを編成する場合、審査員全員が、その該当分野の専門的力量を持った審査員を配置することは容易です。
しかし、例えば、ひとつの組織のマネジメントシステムとして、「建設業、介護サービス、小売業、産業廃棄物処理」(4分野)といった複数の産業分野の組織を複数の審査員で編成する場合は、認証機関はもちろん、配置されたチームリーダーも「審査の担当割り当て」がなかなか難しいです。
例えば、以下のような3人の審査員で認証機関事務局がチームを編成した場合、
・チームリーダー:建設業、介護サービス、小売業、産業廃棄物処理の専門性あり
・チームメンバーA:建設業、小売業のみ専門性あり
・チームメンバーB:建設業のみ専門性あり
チームリーダーは、審査計画することを総統悩むでしょう。
(一般論として、私が担当チームリーダーなら、認証機関事務局に、チーム編成でいないからメンバーを代えて欲しいと交渉するか、あるいは、担当から降ります)
組織のそれぞれ4分野業務比率やサイト数、サイトでの仕事内容にもよりますが、「更新審査」であれば、上記例のチーム編成では、「専門性を適切に考慮した審査員の担当の割り当て」は無理でしょう。
ただし、サーベイランスであれば、可能かもしれません。
その理由は、
・サーベイランスでは、すべての産業分野を必ずしも審査する必要がない
・サーベイランスでは、すべての要求事項を必ずしも審査する必要がない
からです。
したがって、認証機関は、まずは、
・専門的力量が必要なプロセス(例:設計部門、製造部門)やサイトを明確にする
・審査プログラムで、当該サーベイランスの審査内容、項目を明確にする
ことがポイントです。
例えば、上記事事例のチーム編成の場合、「3人の審査員が建設業の専門性はある」ので、
・当該サーベイランスは、建設業を中心とした審査プログラムにする
・建設業以外は、製品実現プロセス以外のプロセスを中心に審査するプログラムにする
(一般的に、製品実現プロセスは、専門性のある審査員を配置しなければ、適切な審査が不可能)
といった対応を取れば、「専門性を担保した審査員の担当割り当て」が可能になるかもしれません。
審査員の専門性は、もちろん、「当該組織の専門性をチーム全員が持つ必要はなくチーム全体で担保」していればいいのですが、安易に、専門的力量を持たない審査員を保有しない産業分野に審査割り当てすると、
・なぜ、専門性のない人に審査割り当てしてOKなの?
・専門性のない部門の審査員割り当てをしてOKの理由を示してください
ということを認証機関は立証できなければ、「不適切なチーム編成による認証審査」となってしまいます。
本来、認証機関の審査チーム編成担当者は、「審査プログラムと審査計画のイメージ」ができなければダメで、イメージできない担当者なら「チーム編成に関する力量がない」といえるでしょう。
多くの認証機関では、事務的に審査員配置し、「実際に適切なチーム編成ができるかどうか」は、ベテランの審査チーム編成担当者が検証する仕組みになっています。
しかし、チーム編成を検証する人も、仕事量が多く、適切にチェックできなくなり、割り当てられたチームリーダーも安易に仕事を受けると「審査計画できないじゃん」となります。
いずれにせよ、
・複数の審査員でチームを編成する、かつ、全員がすべての専門性がない場合
・組織の産業分野が複数ある場合
は、チーム編成と審査プログラムに注意が必要です。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ722号より)
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