組織の仕事の仕組み(マネジメントシステム)が国際規格に適合し、有効に機能しているかを第三者が審査し、世間に公表するISOマネジメントシステム認証制度がある。
このISOマネジメントシステムについて、最近、個人的に気になっている点を備忘録代わりに、何回かに分けて少しまとめておきたい。
今回のテーマは、「是正処置プロセスの有効性」について。
今回は「是正処置プロセスの有効性」について、少し考えてみたいのですが、その前に「是正処置の有効性」について、おさらいをしておきたいと思います。
言わずもがなですが「是正処置」とは、「不適合の根本原因を特定し、除去するための処置」です。
また、「是正処置」では、その不適合の「再発」の可能性を検討し、必要な場合は、他部門や他の同様事例への「水平展開」やリスクの見直しが必要です。
では、「是正処置の有効性」をレビューする目的は、何かといえば、「不適合の再発を防ぐこと」です。
ISO規格(ISO9000:2015)では、“有効性”の定義について、「計画した活動を実行し、計画した結果を達成した程度」と定義されています。
“計画した活動”とは、すなわち“是正処置”であり、是正処置の定義は、「不適合の原因を除去し、再発を防止するための処置」となっています。
したがって、「是正処置の有効性」の判断基準は、
・不適合原因が除去されているか
・不適合の再発が防止されているか
・同様の不適合が再発していないか
ということになります。
注意が必要なのは「是正処置の運用が定着していることで有効性を判断している」ケースです。
日常例で例えれば、「風邪をひいた」という「不適合」があったとして、その原因を「寝冷えをしたため」とします。
「寝冷え対策」として「毛布を掛けて寝る」を対策とした場合、「毛布を掛けて寝ることが定着している」ことで「是正処置は有効であった」と評価しているケースがあります。
しかし、是正処置の有効性確認の目的は「再発させないこと」ですから、「是正処置として実施した対策の定着」に加えて「再発していないこと」を確認して「是正処置の有効性があった」となるでしょう。
・・・と「おさらい」が長くなってしまいましたが、本題の「是正処置プロセスの有効性」です。
小難しい話を止めて、マネジメントシステムの場合、一般論として、「是正処置を発動させるきっかけ」の事例(※概念が重なる部分もあります)として、
・利害関係者からの苦情
・製品(サービス)の不適合
・製造設備等のトラブル
・法令違反等コンプライアンス上の問題
・社内規則や基準、業務手順の逸脱
・組織不祥事
・事故
・内部監査指摘
・取引先等外部監査指摘
・目標やその取組み活動において著しく進捗状況に問題がある
・・・
などがあります。
しかし、
「この1年間でどのような是正処置がありましたか?」
「是正処置事例はトータルで何件ですか?」
と質問すると、
「製品不適合が〇件、内部監査の指摘が〇件で苦情などの発生はなかったのでトータルで〇件です」
というような答えが返ってきたとします。
「では、製品不適合と内部監査指摘の是正処置事例を確認させてください」・・・という展開で確認するのは、前述した「是正処置の有効性」の検証です。
ここでのポイントは「本当に製品不適合と内部監査指摘以外に是正処置を発動する機会がなかったかどうか」なのです。
チェックポイントとしては、まずは、組織が「是正処置を開始するきっかけ」がきちんと定義され運用されているかどうかです。
つぎに「是正処置を開始するきっかけ」が定義され、関係者がそれを認識しているとしたら、前述した事例でいえば「製品不適合と内部監査指摘以外の是正処置を開始するきっかけ」がなかったかどうかを丹念に調査して確認することが必要です。
例えば、小規模な組織の場合、「その場で解決する」ことが多く、「結果として問題のなかった記録」しかなかったり、そもそも「問題を即処理している」ので記録がなかったりするのです。
具体的には、「設備トラブルがあって、予定した業務が半日程度ストップした」としても「メンテナンス業者を呼んで処置を実施した」ことで「問題」として捉えられず、すなわち「是正処置を発動するか否かの土俵にすら乗っていない」ケースが意外とあるのです。
「問題発生=即時対応」は、仕事の進め方としては素晴らしいです。
しかし「問題として捉えず、是正処置プロセスに乗せなければ、問題の原因は徐々に組織内に蓄積し、あとあと即時対応した処置そのものが適切であったかどうかの振り返りができなくなり、問題が再発し、そのプロセス自体の改善も進まない」恐れがあるのです。
あなたが組織の管理者や内部監査員だとしたら、「この1年で製品不適合と内部監査指摘以外に是正処置事例はありません」という状態だったら「うちの組織は是正処置プロセスが有効に機能していない可能性がある」と疑ってみることが必要でしょう。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ706号より)
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