2020年11月6日のHBCニュースが、
「日本製紙釧路工場 紙の生産を来年で終了」
という見出しのニュースを報じていました。
HBCニュースによると、
・日本製紙は、釧路工場の紙の生産を2021年8月に終了することを決めた
・釧路工場は、2020年で操業100年
・製紙業は、水産業や炭鉱と並んで釧路の経済を支えてきた
・生産終了の大きな要因は、IT化や新型コロナウイルスの影響で紙の需要が減少
・日本製紙は、アイスホッケーの「ひがし北海道クレインズ」を支援している
・工場の従業員およそ250人の雇用は、配置転換などで維持される
ということだそうです。
製紙業の衰退は、「時代の流れ」でしょう。
身近な事例でも、
・会議資料のペーパーレス化
・広告系雑誌を主体に書籍類のウェブサイト化
・新聞の定期購読者の減少とWebニュース利用者の拡大
・・・
と、私たちの生活の中から急速に「紙の利用」は減ってきています。
日本の製紙業界売上げランキングベスト5は、
1位:王子HD
2位:日本製紙
3位:レンゴー
4位:大王製紙
5位:北越コーポレーション
ですが、売上げが1兆円を超えているのは、王子HD、日本製紙で、レンゴーは約6500億円、大王製紙は、約5400億円です。
紙業界は、バブル経済以降、生き残りをかけ、経営合理化が進み、合併が活発になりました。
日本製紙は、1993年に十條製紙と山陽国策パルプが合併して「日本製紙」が誕生し、2003年に大昭和製紙を吸収して現在に至ります。(釧路工場は、合併前は、十條製紙)
しかし、「従来からの紙使用量の衰退」は、IT化など時代の流れにあらがうことはできません。
日本製紙は、2019年にオーストラリアのオーロラという会社を買収しました。オーロラは、「印刷出版用紙」製造が主体なので、日本製紙の経営戦略としては、「国内の出版用紙製造は徐々に縮小し海外にシフト」ということなのでしょう。
つまり、釧路工場の紙の生産終了は、遅かれ早かれ、やってくることだったわけです。
では、釧路市の影響を考えると、釧路工場に勤務している正社員は約250人だそうですが、仮に、4人家族だとすると、正社員家族だけで、合計1000人です。
また、関連していた派遣労働者、協力会社を含めれば、「釧路工場に依存して生活をしていた人」は、数千人単位になるでしょう。
釧路市の人口は、約17万人ですから、市の人口減、税収減は、かなりの影響になるでしょう。
ちなみに、2020年10月18日に釧路市長選挙(現市長は蝦名大也氏で4期目)がありました。
このニュースが、市長選の公示前でしたら、少なからず影響があったでしょう。
それにしても、HBCニュースを見ていて「はぁ」と感じたのは、蝦名市長が週明けに、日本製紙の本社を訪問すると報道されていたことです。
「釧路の生産終了が本決まり」になってからの日本製紙の本社訪問は「市長として最善の策はとりました」というアピールだけで、ほとんど意味のない訪問でしょう。
釧路市は、夏でも気温が比較的低く、「夏の避暑地」としてのPRは活発です。
しかし、日本製紙釧路工場のような、通年で経済効果がある対策を取らなければ、どんどん街が寂しくなるのは確実です。
蝦名市長の手腕に注目したいと思います。
【好評発売中!】
『ISOの復権 マネジメントシステム認証制度が社会的価値を持つために必要なこと』
(ブイツーソリューション刊)
http://www.v2-solution.com/booklist/978-4-434-26285-2.html
“できるビジネスマンのマネジメント本”(玄武書房)
https://www.amazon.co.jp/dp/4909566066/
【よかったらメルマガ読者登録お願いします♪】↓
(パソコンでアクセスしている方)
http://www.mag2.com/m/0000218071.html
(携帯でアクセスしている方)
http://mobile.mag2.com/mm/0000218071.html
Twitter:https://twitter.com/ariga9001