菅義偉総理大臣が誕生して、40日程度経過しました。

世間の声は、「世襲議員でないたたき上げ」、「自民党身派閥出身」といった管氏の経歴から、「行政改革」に期待する人が多いようです。

しかし、自民党総裁戦での各派閥の「勝ち馬に乗る」結果から、多くの派閥の支持を受けたので「しがらみ」が生まれてくるのは必至です。

その「しがらみ」を乗り越えるため、自民党の中では、比較的「しがらみ」に遠慮しない河野太郎氏を行政改革担当相に配置し、菅氏は「自分がやりたいこと」を断行できる体制を作ったのかもしれません。

 

一般論の組織論として、「しがらみ」や「昔からの組織の慣習」を打破する経営改革を実施するためには、経営トップを内部昇格的に「時期社長」と言われるような人物をトップにするよりも、外部から、他社での経営トップの経験がある「経営のプロ」と呼ばれる人物を招聘して「組織改革」を実施することで成功をおさめるケースがあります。

晩節を汚す結果になってしまいましたが、日本においては、例えば、1999年当時、約2兆円の有利子負債を抱えていた日産自動車の経営を立て直したカルロス・ゴーン氏がこの事例としてあげられるでしょう。

 

ただ、「しがらみのない」経営トップを外部招聘した場合に、後々振り返れば「失敗ではなかったか」と思われるケースがあります。

例えば、

・自分より組織を取り巻く業界事情に詳し人

・自分より組織の事情に詳しい人

・自分に意見する人

を排除し、

・自分に従順な人(トップになってから採用した人)

・社内、業界に詳しくない人

を登用するケースです。

 

この手法のメリットは、ずばり、

「従来のしがらみにとらわれない」

経営改革ができる点です。

 

しかし、デメリットもあります。例えば、

・技術的なフォローができる人が周りに居なくなる

・強権を発動することで、よい意見が封じ込められる

・トップによい情報しか上がらなくなる

といった点です。

 

また、このタイプのトップは、「自分の経営改革の正当性」を外部にアピールする術が得意です。そのため、組織の将来を憂い、経営トップの経営改革手法の問題点を指摘するような、トップから見れば「組織内の反乱分子」を「反対勢力」とレッテルを貼るので、外に向かってトップに対するネガティブな情報を発信すると、いつの間にか、巡り巡ってトップに情報が入り、「反対勢力を排除し、しがらみを取り除くことしか改革はできない」と主張するのです。

 

こうしたトップは、改革断行中に「数字的な指標」を上げることは得意です。

しかし、このトップが当初の任期を終了し、退任すると、

・技術的な継承性がなくなり「素人集団」となっている

・現場からの改善提案が上がりにくい体質になっている

といった問題が発生するケースが、私の経験上、多いように思います。

 

「しがらみを排除して経営改革できるトップ」を外部招聘することはメリットもありますが、「天皇」にしてしまうと、結果的には「負の遺産」が、トップが去った後には残されている、ということが起きるケースが多いです。

このような「負の遺産」を理解し、次の「トップ」を配置しないと、組織は徐々に弱体化が深耕し、心ある人は「だんまり」を決め込むか、あるいは見限って「退散」していくので、注意が必要です。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ718号より)

 

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