2020年10月13日付の産経新聞が、
「「非正規」に厳しい判断 企業側にもクギ 待遇格差訴訟で最高裁」
という見出し記事を報じていました。
記事によれば、
・退職金と賞与をめぐり、非正規労働者が正社員との待遇格差について最高裁判決が下った
・最高裁は、格差について「不合理とまで評価することはできない」と判断した
・一方、最高裁は退職金と賞与の格差が、違法となる場合も「あり得る」とした
・平成30年6月に、最高裁は、格差の妥当性の判断は、
→賃金総額の比較だけでなく、給与や手当てを個別に検討する
→手当の趣旨/職務の内容/その他の事情-を考慮して不合理な格差か否かを検討していた
・13日の判決で最高裁は、正社員や正職員の能力や責任を前提とした手当で妥当とした(※)
・また、職種変更の登用試験があったこと等を指摘し、格差を「不合理」とはしなかった
・15日には日本郵便の非正規社員が起こした訴訟の最高裁判決があり注目される
・・・
とのことです。
※文中の詳細:
・メトロコマース
退職金は「正社員としての能力や責任を踏まえた労務の対価の後払い」として妥当
・大阪医科大
賞与は「勤続年数に伴う能力向上に応じた職能給」として妥当
とそれぞれ、正社員や正職員の能力や責任を前提とした手当と最高裁は位置付けた
記事に記載がありましたが、今回の最高裁のケースが、すべての正規と非正規の「格差」として当てはまるものではなく、「個別のケースにおける判断」なのでしょう。
ただ、感覚的には、メトロの売店で販売員をしている人の「ジョブディスクリプション(職務記述書)」を書き出せば、正社員とアルバイトに「差があったのだろうか」と思います。
最高裁は、「退職金は、正社員としての能力や責任を踏まえた労務の対価の後払い」としましたが、メトロコーマース側が主張した「能力や責任の違い」とは、具体的にどのようなものだろう?と思います。
昭和の時代と違って、売店の販売員の作業は、IT化されています。かつては、各商品の価格がベテラン販売員はすべて頭に入り暗算もとっさにできたでしょうから(能力給)、おそらく、時間あたりの販売数(成果)にも「経験の差」は大きく影響したでしょう。
しかし、現在は、バーコードで商品を読み取り、SuicaやPASMOによる電子決済が主流ですから、「能力による違い」があるとは思えません。
「職種変更のルートがあったこと」を「格差が不合理でないこと」の理由にしていますが、こちらは、少し異論があります。
非正規から正規になる仕組みはあっても「その職種変更の仕組みは、現実的な運用だったのか否か」です。
例えば、
・職種変更事例件数
・職種変更要件
などに妥当性があるかどうかの検証も必要でしょう。
私の友人で、日本郵便で、非正規で働いている人がいますが、日常的な仕事内容は、「正社員とほとんど違いはない」といいます。
また、有期雇用なので、「正社員に指示されたら契約更新がされないかもしれない」という恐怖感もあり、本来、正社員がやるべき仕事を上長は、ベテランの非正規に業務指示するケースも実際には多いでしょう。
・非正規が置かれている立場(指示に従わないと雇用が脅かされる)
・格差(賃金、賞与、退職金)が妥当な金額か
・正規と非正規の職務記述書は明確に組織において規定され、それにそった業務指示か
といった点についても、今後の裁判では、しっかり、司法が判断してほしいものです。
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