2020年9月1日付の時事通信社が、

「タトゥー情報ですし店解雇 賠償求め労働審判申し立て 東京地裁」

というタイトルの記事を報じていました。

 

記事によれば、(注:筆者一部編集)

・高級すし店で板前補佐として勤務していた男性(20)が損害賠償等の労働審判を申し立てた

・男性は、体に刺青があるとの情報で解雇された(その後、双方代理人が協議し復帰)

・損害賠償と係争中の賃金支払い額は、合計580万円

・代理人弁護士によると、男性の友人が7月26日、すし店店長に男性に刺青があることを示唆

・その話を聞いた紀尾井久兵衛の社長は2日後、事実確認をしないまま男性を解雇

・7月末には、男性が住んでいた杉並区内の寮も退去するよう求めた

・解雇は8月に撤回されたが、体に刺青が入っている間は調理準備のしかできないと告げられた

・男性の代理人弁護士は、男性に刺青があるかは明らかにしていない

・弁護士は

「就業規則でタトゥーは禁じられておらず、解雇は違法。退去の強要行為も損害賠償の対象となる」としている

・紀尾井久兵衛は、

「解雇が違法という点については協議の中で適切に是正しているものと認識しており、労働審判が申し立てられたことは大変残念」とコメントした

・・・

ということのようです。

 

少しおさらいですが、みなさんご承知のように今回、男性スタッフから申し立てられた「労働審判」とは、

・労働者と事業主との間で起きた労働問題を解決する手続き

(平成18年4月から開始された制度)

・労働審判官1名と労働審判員2名が審理する

・目的は、裁判手続きより、迅速かつ適正な解決を図ること

のことです。

 

裁判となると、通常は、1年以上の期間がかかる手続なので、時間と労力が掛かるので、今回、このような「労働審判」という手段にしたのでしょう。

 

それにしても、記事から想像すると、確かに「退職強要」は、「労働審判」の対象ですが、未払い賃金を含めて、580万円もの損害賠償は、どのような算定根拠で導き出されたのだろう、と思います。

紀尾井久兵衛も認めるように、

・就業規則に刺青の禁止条項がない

・刺青の有無を確認せずに解雇した

・寮からの退去を強要した

といった点は、店側に問題(非)があったでしょう。

 

しかし、一般的には、就業規則に「ふさわしくない業務内容の禁止」といった事項はあるでしょうから、すし職人(見習い)の「刺青」は、刺青の箇所にもよりますが、十分に「スタッフとしてふさわしくない業務状況」といえるでしょう。

したがって、刺青がある間は、「調理準備業務」と告げたことの違法性も殆どないと思います。

しかも、お店は「紀尾井久兵衛」と一流で、高級ホテルのニューオータニに入る店舗です。

客側にアンケートを取ればはっきりしますが、おそらく、8割以上の利用者は、刺青がある職人の握った寿司は食べたくないでしょう。

 

この「労働審判」の動向に注目です。

 

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