母国レバノンに逃亡し、日本だけでなく、世界的にすっかり「晩節を汚してしまった」感のあるカルロス・ゴーン氏。
レバノンにあるゴーン氏の自宅(日産の資産との噂もあるので不法占拠?)は、2020年8月4日のレバノンの首都ベイルートで現地時間の午後6時ごろに発生した倉庫火災による大爆発で被害を受けたとの報道もあったので、いまは、どうされているのでしょう。
さて、ゴーン氏が来日したのは1999年。当時の日産自動車塙社長がルノー傘下での経営再建を決断し、送りこまれてきたのが、当時、44才のゴーン氏でした。
ゴーン氏が日産リバイバルプランを計画する中で推進したのは、「クロスファンクショナルチーム」です。
業務改善を少しでも勉強したことがある人なら、当たり前の手法ですが、当時の日産は、「縦割り組織の弊害」による「部分最適組織化」でした。
要は、研究・開発、生産部門、購買管理、販売管理などの各部門が、経営不振の理由を押し付け合い、さらに意思決定が遅れるという状態になるのです。
一般的に、大組織が一度こうなってしまうと、組織の問題点に気づいていても、自らはなかなか変えられません。
そこで、外様であるゴーン氏が、大鉈をふるって各部門から若手のリーダーを集め、9つのクロスファンクショナルチーム(例:販売マーケティング、車種削減)を設置し、リバイバルプランを作成したのです。
では、これが、塙社長の肝いりで、若手を抜擢し、ゴーン氏と同じようなことを実施したら成功したのか?・・・おそらく、成功には至らなかったかもしれません。
経営改革のトップが、なまじ社内事情に精通していると「相手の立場をおもんばかる状況」が生じ、大鉈を振り下ろすことはできなかったでしょう。
つまり、大改革を行えば、胡坐をかいてきた部門や無駄な業務に関する人の職を奪うことになり「温情」が働くからです。
さて、話は少し変わりますが、組織の大改革を行うときに、「話し合いで決める」というのが、「民主的なやり方」で、私も「理想的」と思いますが、現実社会では「思い込ませて、しゃにむに突き進む」方法論が「うまくいくこと(成功)」(長い目で捉えると成功といえるか、倫理的によい方法なのか微妙なこともありますが)があります。
要は「このように行革を進めるのがベスト」と関係者を洗脳してしまうのです。
一般には洗脳の条件は、
◆沢山の選択肢を与えるが「同じ結論になるように誘導」する
◆短いフレーズの情報を繰り返しすり込み洗脳する
◆密室に閉じ込めて情報を遮断する
◆極限の恐怖を与える→開放する を繰り返す
◆自己否定感を埋める
です。
私が関係する組織では、この数年間で、捉え方にもよりますが「その組織が誕生して以来、大幅な業務改革」を行いました。
この組織の役員は、4~6年の任期で入れ替わります。
一般的に、役員が外部招聘され、期間が限定されていると、「短期的な成果」に走ります。
この組織のトップは、
・事務方は、現場の事は知らなくてもいい
という業務方針を取っていたようです。
その理由は、
・事務方が業務実態を知ると現場に対する温情が働く
・事務方が業務実態を知ると改革することで弊害が生まれることがわかる
からです。
そうなると、改革成果を「手柄」としたいトップにとっては、改革が進めにくいわけです。
したがって、トップに建設的意見を進言する人は、配置換えや出向を命じ、自分の指示に、何も実態を知らずに忠実に従うポチを自らの配下に異動させ、あるいは、中途採用して重用するのです。
その結果、どうなるのか?
収支的な面は(瞬間的に)向上が図られますが、業務の質や技術の伝承など「組織文化」は知らず知らずのうちに壊れて行きます。
・・・「魅力的な車がない」、「メンテナンスが悪い」などと言われる今の日産自動車からこの組織の未来もなんだか想像がつく話ですね。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ711号より)
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