組織の仕事の仕組み(マネジメントシステム)が国際規格に適合し、有効に機能しているかを第三者が審査し、世間に公表するISOマネジメントシステム認証制度がある。
このISOマネジメントシステムについて、最近、個人的に気になっている点を備忘録代わりに、何回かに分けて少しまとめておきたい。
今回のテーマは、「組織の産業分類と認証機関の審査員の専門性」について。
日本の認定機関として、「公益財団法人日本適合性認定協会」(通称JAB)があります。
このJABのウェブサイトには、認証機関によって認証登録された組織(公開を希望しない組織も一部ある)が掲載されています。
https://www.jab.or.jp/system/iso/search/
QMS、EMS、AS-QMS(航空宇宙品質マネジメントシステム)、TL-QMS(電気通信品質マネジメントシステム)について、登録された組織は、「39種類の産業分類」によって識別されています。
https://www.jab.or.jp/files/items/2028/File/ms-scope.pdf
簡略化して説明しますが、39分類は、例えば、「機械、装置(分野18)」、「建設(分野28)」、「情報技術(分野33)」といったように区分けされています。
認証機関に対する要求事項では、「その組織の審査が適切に実施できる専門的力量を明確にして、審査員を割り当てること」が要求されています。
少し横道にそれますが、この専門性ですが、審査する組織の製品・サービスの複雑性や認証機関によって「どのような審査員が専門的力量を有している」とするかは、様々です。
ある機関は、「審査する組織と産業分類が同じ組織審査を10回以上経験していればOK」としているケースもありますし、「審査経験は何回積んでも専門的力量とはなり得ず、同じ分類の業務経験最低3年以上なければダメ」という認証機関もあったりします。
さて、この「組織に該当する産業分類」と「組織に必要な専門的力量」が「混同されているのではないか」というケースが、JABのウェブサイトで登録組織の認証範囲を眺めていると感じることがあります。
例えば「電気設備の設計、施工」という組織があったとします。
産業分類としては、電気設備工事は「建設(分野28)」になります。
しかし、産業分類として「28」だけではなく「19(電気的及び光学的装置)」がついているケースがあります。
専門的力量としては、「建設」(28)に加えて「電気に関する知識」は必要ですから、専門的力量として、その認証機関が「28と19」を持っている審査員を割り当てる」というのは、間違っていませんし、正しいでしょう。
しかし、あくまでも、その組織が分類される産業分野は「28」です。
「組織に該当する産業分類」と「組織に必要な専門的力量」・・・少々頭がこんがらがるかもしれませんが、その違いをしっかり認識して、認証機関の事務局はもちろんのこと、担当する審査員は、審査を遂行してきてほしいものです。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ690号より)
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