2020年6月25日付の京都新聞が、

「チンパンジー研究の世界的権威が不正支出5億円 京大が研究資金を調査」

というタイトルの記事を報じていました。

 

記事によれば、

・京都大学霊長類研究所が研究資金を不正支出して額が約5億円に上る

・松沢特別教授を含めて複数の教授らが不正に関与した経緯などを記者会見で説明する

・松沢特別教授は、チンパンジー研究の世界的権威で文化功労者

・京大は2018年12月に霊長類研究所を巡る不正に関する情報提供を受け、調査を開始

・調査は、背景が複雑なこともあり長期化していた

・不正は、研究設備の納入実態がないにもかかわらず大学予算から代金を支払っていた

そうです。

 

この「不正」に関する詳細はわかりませんが、まずはじめに、

「身内の不祥事をしっかり調査し、発表している」点で、京都大学はさすがでしょう。

出来れば、なぜ、この問題が発生したのか、なぜ、予防できなかったのか、再発防止対策はどうするのか、関係者の処分はどうするのか、といったことをしっかり、究明して欲しいと思います。

 

一般論ですが、国立大学で教鞭をとる知人に聞いた話ですが、年々、国立大学の研究環境は厳しくなっていく一方だそうです。

やはり、小泉政権時代に、

「国立大学も自分たちで稼いでください」

という流れになったのが大きいのかもしれません。

 

研究開発が、ビジネスに直結するような研究は、まだ、「自分で稼げ論」は成り立つかもしれません。

しかし、霊長類研究など、社会のために直結しないような研究は、「自分で稼げ」と言われてもスポンサー探しは難しいでしょう。

よく言われる話ですが、基礎研究は、研究自体は、なんの役に立つのかその時はわからなくても、あとあと、その知見が人類のためになる、というような話はいくらでもあります。

けれども、そうした研究には予算がつかない。

要は、研究環境を取り巻く状況はあまりにかみ合っていなくて、研究者がやりたいことを思いっきり好きなようにできる時代ではなくなったといえるのでしょう。

 

私が在学していた大学の先生も教授職を辞めて、民間の研究機関に移籍しました。

傍から見れば「教授」の方が格上な感じですが、本人からすれば、研究を極めるためにふさわしい環境を求めたのでしょう。

 

話題は少しそれますが、知人の国立大教授の話だと、以前は、奨学金を借りても、教職や公務員などに就くと返済が免除されたそうです。

しかし、現在はその制度もなくなり、優秀な学生でも、博士課程進学には二の足を踏んでいるそうです。

かつての日本には、ビンボー人でも、学を付けて、立身出世し逆転する人生も描けました。

けれども、今の日本は、「金持ちはまた金持ちを再生産」できますが、「優秀でもビンボーだと研究者としてのし上れない」時代になりつつあるようです。

 

・・・と嘆いてみても、二世三世議員が国会議員の多くを占め、キャリア官僚も苦学生出身者が以前より減ってきている今、そのような状況を変えていくという発想のある議員や役人は少ないのかもしれません。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ704号より)

 

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