経済、経営に関する多くの有識者が「withコロナ時代のビジネスは、“完全な元には戻ることはない”が大前提になる」と主張しています。
私もこれらの主張には同感で、新型コロナ禍は「緊急事態ではなくビジネスモデルを変革する事態」と捉えた経営が必要だと考えます。
緊急事態宣言が全国的に発令されていた期間は、自宅のある市内から出ることは、全くありませんでした。したがって、私自身がリアルに実地体験したのは、飲食店や食品スーパーぐらいで、それ以外の産業は「知人からの情報やテレビ等情報番組」からですが、「withコロナ時代の食品関連産業」について、少しだけ考えてみたいと思います。
ご存知のように、食品安全マネジメントシステムに関する国際規格として「ISO22000」があります。
この規格を関連する組織は導入することで、HACCPの食品衛生管理手法をもとに食品安全のリスクを低減し、安全なフードサプライチェーンの展開を実現することができます。
つまり、ISO22000により「消費者に安全な食品を提供することを目的とした食品安全マネジメントシステムの確立」ができるのです。
さて、新型コロナ禍により、食品関連産業の影響として、
・飲食店における来店客同士が密接にならない座席配置を含めた店内レイアウト変更
・飲食店におけるケータリングやデリバリーサービスの拡大
・リモートワーク化により飲食店や移動販売のランチ営業の売り上げ減少
・飲食店における共有物の減少
(例:箸、取り皿、醤油等の調味料はあらかじめテーブルに置かない)
・大皿料理における感染症対策
(例:顧客毎に専用トングや取り箸を用意する)
・流通(食品スーパー)における陳列品の感染症対策
(例:フードカバー、試食コーナー)
・食品輸送・倉庫保管における感染症対策
は、誰もが想像できることでしょう。
つまり、「安全・安心という価値が一番貴重なもの」という価値観がより強くなると考えられます。
例えば、飲食店の店舗レイアウトは、これまで「床面積に対して効率よく着席できる配置」が前提でしたが、「安全に店内で過ごしていただくレイアウト」になるわけです。
また、スーパーでは「商品を手に取って見る」が当たり前でしたが、「モニターで商品を掲示し、購入するものが決まらないと手に取ることができない」仕組みにする店も出てくるでしょう。
つまり、感染症対策という「食の安全・安心」に対してお金を払う人が出てくるようになるでしょう。
ちなみに、ISO22000のフードカテゴリは、
A:畜産・水産(動物生産)
B:農業(植物生産)
C:食品製造
D:動物の飼料製造
E:ケータリング
F:流通
G:輸送及び保管サービスの提供
H:サービス
I:食品包装及び包装資材の製造
J:装置の提供
K:(生化学)化学製品の製造
に分類されています。
製造・サービスの機械化、自動化がどんどん進んでいるといっても「人」の介在がゼロになる産業はありませんので、スタッフの職場環境における感染症対策予防手順と発生時の食品自体への影響を考慮した回収等の対応手順の見直しが、すべてのカテゴリで必要になるはずです。
(おそらく、ISO/TS22002-1、22002-4、FSSC22000追加要求事項等にも感染症に関する管理が加えられるのではないかと思います)
また、前述したように、特にカテゴリE、F、Gについては、リスク分析と手順の見直しは必須となるでしょう。
予定では、東京五輪は、1年後の2021年に開催されます。
すでに東京五輪組織委員会では、選手村における食堂の24時間利用は困難との意向を示していますが、これまでの食品安全マネジメントシステムに加えて、感染症対策によりフォーカスをしたマネジメントシステムを構築しないと「選手・役員の安全」は確保できないでしょう。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ700号より)
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