2020年5月28日の朝日新聞デジタルが、
「スーパーホテル支配人ら“やり方ひどい”運営会社を提訴」
という見出し記事を報じていました。
記事によれば、
・「スーパーホテル」の元支配人らが運営会社を相手取り訴訟を東京地裁に起こした
・労働者としての地位確認と残業代や慰謝料など計6241万円の支払いを求めている
・支配人らは、業務委託契約で働いていた
・2人は契約で住民票をホテルの住所に移して2018年9月から住み込み勤務だった
・2020年3月24日にホテル側の副社長らがホテルを訪れて2人は締め出された
・2020年4月15日に2人は契約解除の通知を受けた
・運営会社側は理由を、“業績が悪くちゃんと業務に従事していないから”と説明
・2人の契約は、働き手に労働基準法の保護が及ばない業務委託契約だった
・代理人弁護士は、2人は1400ページものマニュアルに沿って業務を行っている
・よって、事実上、ホテル側の指揮命令下にあった
・売り上げを増やしても報酬はほとんど変わらなかった
・2人は、これらの事実より、実質的に労働基準法上の労働者である主張
・1日の業務時間は18時間に上っていたとして、残業代の未払い賃金などを求めている
ということのようです。
法律家ではないのですが、私は、一部の業務を業務委託契約で請け負っているので、新聞記事情報のみからの感想ですが、
・代理人弁護士の論法ならは、業務実態は、確かに労働者である
・契約解除されたから「労働者」と主張しているので、委託契約自体は不当ではない
(※委託契約内容の是非は抜きにして)
と考えます。
法廷戦略として、契約解除されたので、「労働者であった」という論法で、損害賠償等が請求できる訴訟を起こしたのだと思いますが、寧ろ、問題なのは、
・住民票を移して住み込みで働いていたのに、無理矢理、追い出されたこと
(※力づくなら暴行罪に相当)
・そもそも業務委託内容と受注金額が適切な内容ではなかった
(※委託料でアルバイトを雇い、1日18時間も働かないと業務が完結しない契約に問題)
・契約書に「業績が悪い」、「ちゃんと業務に従事していない」の基準は明確だったのか
(※契約解除の基準、通知方法等は明確に規定されていたのか)
・ホテル運営会社側のふるまいは「優越的地位の濫用」である
・・・
といった点が「大規模ホテルチェーン」として、少なくとも、人道的、コンプライアンス的に問題だと思います。
仮に、ふたりで支払いを求めている損害賠償等が全額、支払われるなら裁判費用を経費として支払っても「人生の再出発資金」になります。
しかし、裁判的には「勝訴」したところで、請求金額の半分以下でしょう。
運営会社との関係がこじれてしまったので、「もう元の職場には戻りたくない」という考えもありですが、136店舗(2019年末時点)もある大ホテルチェーンですから、他にも同じような悩みを抱えている「業務委託者の支配人、副支配人」は存在するはずです。
「業務内容に応じた適切な業務委託契約に見直すこと」の方が、他の委託業務者や2人にとっても2年近く住み込みで頑張ってきたノウハウを生かすためにも前向きな解決策だったように思います。
個人的には、スーパーホテルには、北海道から沖縄まで、各地でお世話になっていて、大浴場は必ずあるし、バイキング形式の食事もメニューが工夫されているし、データが全国で共有化されていて、私の希望する部屋のタイプが登録されていて、チェックイン時に「××タイプのお部屋に無料で変更しましょうか?」と聞いてくれるので、「良いイメージ」しかありません。
また、以前は「リーズナブルなビジネスホテル」でしたが、近年は「ワンランク上質なタイプのホテル(ロハス)」もあり、シティホテルに泊まっていた層でも、満足できるような仕様もあります。
けれども、運営会社が、個別の事例ではなく、全国的に「優越的地位の濫用」をして運営している会社なのであれば、「ブラック」ですから、今後、宿泊予約は、控えたいと思います。
宿泊者、業務委託者、ホテルスタッフ、運営会社のみんながハッピーになる状態に改善を願うばかりです。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ700号より)
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