2020年5月15日付の毎日新聞が、
「観光バス車内で一人カラオケ」 コロナ苦境のバス会社が発案 新潟」
という見出しの記事を報じていました。
記事によれば、(以下、筆者要約)
・新潟第一観光バスは、県内の学校送迎や校外学習、県外への合宿の送迎が主な業務
・3月の休校措置でスクールバスはなくなり、4月からは県外への送迎もほぼゼロ
・売り上げは前年同期から約95%落ち込んだ
・11人いる従業員は2月後半から自宅待機中
・経費を抑えるため、国土交通省の特例措置を使い、バス9台を9月末まで休車扱い
・特例による休車扱いは、保険、車検や3カ月点検などの法定検査が免除になる
・7月からは校外学習の予約などが入っているが、県外の往来は運行できない
・バス会社は休業要請の対象ではなく、県や市の休業協力金は出ない
・同社の小林常務が発案したのが、「観光バス内での一人カラオケ」
・カラオケ店などが休業しており、バスのカラオケ機器で一人2時間限定
・予約は電話での完全予約制で、無料で歌ってもらう
・小林常務は、「事態が収束したら、また乗車してほしい」との想い
だそうです。
うーん、小林常務の取組みと「事態が収束したら乗車して欲しい」という気持ちは嬉しいですが、この状況はすぐには変わらないと思うので、時間の問題のように思います。
知り合いの運送会社の経営者に直接聞いた話ですが、路線バス会社は、大丈夫だが、観光バスは壊滅的だそうです。
確かに、普通に考えれば、緊急事態宣言が解除されても、多くの人は「ウイルスとの共生社会確立に向けて、慎重に行動する」でしょうから、「観光産業」が元に戻るのは、相当時間がかかるでしょう。
内部留保があって、体力のある観光バス会社はともかく、体力のない会社は、国交省の特例があっても、持ちこたえることはほぼ無理でしょう。
ただ、前述した運送会社の経営者の話では、「観光バスの運転手が一般貨物輸送の業界に流れてきている」そうです。
近年は、タクシー、バス、宅配、一般貨物など運送業界のドライバーは「全体的に不足傾向」でした。
働き方改革もあって、勤務時間体制に余裕を持たせる必要が生じ、仕事量は増えているのに、募集してもドライバーが集まらなくて仕事のできるドライバーの取り合いが起きていたそうです。
緊急事態で多くの産業が、ほとんど止まっていますが、生活維持産業は動いているので、製品の供給者と受給者をつなぐ物流産業は、仕事量は減っていますが、休業とは無縁の世界なのです。
ふつうに考えれば、観光バス産業は、ドライバーを一部解雇し事業縮小するか、別の許認可を受けて新規事業に取り組むしかありません。
ちなみに、札幌のタクシー業界は、「札幌出前タクシー」(通称:食べタク)サービスの実証実験が2020年4月17日から始まっています。
しばらく様子見として、食べタクの実証実験をするとともに、雇用調整助成金等で経営をつなぐとしても、観光だけでなく、タクシーは、仕事のリモートワーク化も進むことが予想されるので、今後仕事量は減少し、現状態勢のままでは窮地に立たされるでしょう。
AIによって10年後には「なくなる仕事」、「なくならない仕事」が経済紙等で発表され、自動運転化で、輸送産業も縮小することは予想されていましたが、まさか、こんなにも急に変革の必要性が訪れるとは。。。
東日本大震災の時に「いつ何か起きるかわからない」と実感したはずなのに。
今度こそ、真剣に「いざ」を考えて組織のトップは経営しないとまずい時なのでしょう。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ698号より)
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