組織の仕事の仕組み(マネジメントシステム)が国際規格に適合し、有効に機能しているかを第三者が審査し、世間に公表するISOマネジメントシステム認証制度がある。
このISOマネジメントシステムについて、最近、個人的に気になっている点を備忘録代わりに、何回かに分けて少しまとめておきたい。
今回のテーマは、「ISO9001:2015の力量」について。
ISO9001の2015年版7.2項「力量」では、以下の要求事項があります。
(以下、規格より引用)
組織は次の事項を行わなければならない。
a)品質マネジメントシステムのパフォーマンス及び有効性に影響を与える業務をその管理下で行う人(又は人々)に必要な力量を明確にする。
b)適切な教育、訓練又は経験に基づいて、それらの人々が力量を揃えていることを確実にする。
c)該当する場合には、必ず、必要な力量を身につけるための処置をとり、とった処置の有効性を評価する。
d)力量の証拠として、適切な文書化した情報を保持する。
(引用、ここまで)
少し簡単に表現すれば、
・仕事に必要な力量を決定し、力量があることを確認した上で仕事をさせる
・力量が不足していれば、対応処置を実施して能力を身につけさせる
・とった処置の有効性を評価する
・力量、教育を行った証拠を文書化した情報として残す
ということになります。
これを実務で考えると、例えば、あるメーカーに設計部員(仮にA氏)がいたとします。
A氏は、それまでは、手書きでの設計、または、2次元CADしか使ったことがなく、3次元CADの知識も力量もなかったとします。
その組織では、3次元CADによる設計技術を設計部門のスタッフに必要な力量と決定したとします。
すると、A氏は「3次元CADの力量がない」ことになるので、設計部門長は、力量を身につけさせるために、3次元CADの外部セミナーを受講させることにしました。
受講後に、「講習レポート」を作成させ、試しに、設計部門長が3次元CADによる設計業務を指示し、その出来栄えが期待以上であれば、「外部講習の有効性があった」として評価記録を作成すれば、規格要求事項は、
・力量の明確化:3次元CADが使用できること
・不足する力量の対応処置:3次元CADの外部講習受講
・とった処置の有効性の評価:講習レポートと試しに3次元CADの仕事をやらせて評価
・力量に関する記録:講習レポート、部門長がA氏を評価した記録
となり、とりあえず、要求事項は満たしていることになります。
仮に、「設計部門長が試しにやらせた3次元CADの業務で期待以下の仕事しかできなかった」ということであれば、「力量がまだ不足している」ので、「追加の教育」が必要になり(とった処置)、追加の教育実施後に力量評価した記録が「とった処置の有効性の記録」となります。
注意しなければならないのは、「とった処置の有効性の評価」です。
結論から言えば、
・A氏が外部講習を受講した後の力量の有無の評価
・A氏が力量を身につけるためにとった処置の方法論の評価
のいずれも本来は必要になると思います。
なぜならば、ISOマネジメントシステムは「○○さんしかできない」といった「属人的業務の防止」や「仕事の仕組みの継続的改善」も根底にあるので、「A氏が力量を身につけたからその証拠の記録を残してはい終わり」では、不十分でしょう。
例えば、設計部門に3次元CADの力量が不足するスタッフが5人いたとして、A氏同様の外部講習を5人に受講させたが、受講後に設計部門長が要求する仕事ができたスタッフは2人だけだった、ということであった場合、「はたしてこの外部講習は3次元CADの力量を身につけさせるための最適な方法なのだろうか?」と考えれば、やや疑問が残ります。
力量を身につけさせる方法論についても、PDCAサイクルをまわすのが、ISOマネジメントシステムの有効な活用の仕方といえるでしょうね。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ681号より)
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