組織の仕事の仕組み(マネジメントシステム)が国際規格に適合し、有効に機能しているかを第三者が審査し、世間に公表するISOマネジメントシステム認証制度がある。
このISOマネジメントシステムについて、最近、個人的に気になっている点を備忘録代わりに、何回かに分けて少しまとめておきたい。
今回のテーマは、「機関の認定分野と審査員の専門性」について。
ISOマネジメントシステムの審査を適切に実施するためには、マネジメントシステム規格の知識はもちろん、経営管理、品質保証、品質管理、環境や労働安全等に関する法規制等の知識を有していることが重要なことは、マネジメントシステム審査員として当然です。
その他に、審査する組織の業界の業務プロセスや業務特性、近年の業界トレンドといった知識を有していることも必要です。
ISOマネジメントシステムの世界では、このように「審査に必要な力量」を認証機関が明確にし、明確にした力量基準を満たした審査員を受審組織に配置して、審査活動を計画・実施しています。
では、各認証機関は、その受審組織の審査に必要な力量をどのようにして明確にしているか、といえば、一般的には「経済活動分野」毎に審査に必要な力量を明確にしています。
経済活動分野は、大雑把に39分類に分かれています。
注記:以前(2017年7月3日)のコラムで触れているので、参照ください。
http://blog.logcom.jp/?day=20170703
例えば、「照明器具製造業」であれば、39分類の中に「19 電気的及び光学的装置」という分類がありますので、「分野19の経済活動をしている組織審査に必要な力量」を認証機関が明確にして、力量基準を満たした審査チームを編成して審査活動を実施しています。
「照明器具」の話題を更に進めますが、「室内用照明器具」以外に「自動車用ヘッドライト、テールランプの製造」をしている組織があるとします。
「自動車用ヘッドライト、テールランプ製造」であれば、「22 その他輸送装置」の小細分類に「自動車用電気装置の製造業」がありますので、「分野22」の力量がある審査チームを編成する必要があります。
この場合、認証機関が、「室内用照明器具製造と自動車用照明器具製造の組織審査に必要な力量は、業務プロセスや産業特性は類似しており同一である」と判断して、審査員に「分野19と22」(注:詳細分類は説明上省略します)の力量を付与していれば、組織審査の審査チーム編成としては問題ありません。
問題は、認定機関が認証機関に付与する「産業分野」は経済活動分野であることです。
つまり、審査チームとしての力量は、現実的には担保されていても、組織審査を担当する認証機関が当該組織に該当する産業分野の認定を保有していないと認証審査ができないことになります。
例えば、ある認証機関が認定機関から「分野19」(電気的及び光学的装置)は認定されているが「分野22」(その他輸送装置)は認定されていないケースで、「自動車用照明器具の製造」(分野22)という組織を審査する場合、「分野22」を保有していないと、審査チーム自体の力量が担保されていたとしても、認定マーク付きの登録証は発行できません。
では、認証機関が「自動車用照明器具の製造」という組織について「分野19である」として審査していた場合は、どうなるのでしょうか。
現状では、認定機関は、「分野22の認定について分野拡大申請をしてください」という判断になり、事務所審査や組織立会でそのようなケースが検出されれば「指摘」となると思われます。
あくまでも個人的見解になりますが、核燃料(分野11)や医療(分野38)といった専門性が非常に高い一部の産業分野を除けば、本来は、認証機関が「認証機関の力量基準を満たした審査チームを編成し、当該組織審査を遂行する能力がある」と判断して審査を実施していればよいと思います。
ただ、そのようにすると、認定機関としては、認証審査のほぼ全てが、認証機関の「自己判断」に完全にゆだねてしまうことになり、認証審査の適合性保証のチェック(監視)は、「認証審査のタイミングにおけるサンプリング調査のみ」となって、認定機関としてはリスクが高いです。
そのため「認定分野」を明確にして、「認定分野以外の産業分野の組織審査をする場合は、認定分野を拡大してください」という判断をしているわけです。
近年はIAF(国際認定機関フォーラム)でも認定プログラムによっては、認定分野のボーダレス化が始まっており、ある程度、機関に判断をゆだねてもいいのではないかと思います。
あるいは、「認定分野の拡大」について、現在は、分野拡大にはかなりの認定審査工数が生じますが、柔軟に拡大できる認定の仕組みにすることも必要なのではないか、と思います。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ674号より)
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