なんだか、最近は「当たり前」になってしまいましたが、少し前まで「コーヒーのペットボトル」は殆どありませんでした。
昔からあった(ような気がする)ペットボトルコーヒーで、パッと頭に浮かぶ商品は、
・ポッカサッポロ がぶ飲みミルクコーヒー
https://www.pokkasapporo-fb.jp/products/soda/gabunomi/HV43.html
・サンガリアのまろうまカフェオレ
http://www.sangaria.co.jp/products/coffee/maro-uma/maro-uma-cafe-au-lait-500p.html
です。
いずれも、「ミルク入りコーヒー」です。
一説には、「昔はペットボトルコーヒー自体にニーズがなかった」と言われています。
つまり、
・ペットボトルに入ったコーヒーは醤油みたいで飲む気がしない
・コーヒーは香りを楽しむものでがぶ飲みするものではない
という消費者心理があり、「そもそも商品企画・開発そのものをしなかった」ということです。
しかし、ミルクコーヒーなら、香りを楽しむより味です。
そして、牛乳をがぶがぶ飲むとの同様で、ミルクコーヒーなら「がぶ飲み需要」があったわけです。
それから、ペットボトルコーヒーがなかった別の理由としては「製造技術」の問題があります。
コーヒー飲料を製造する場合、法律で「殺菌」工程を含めるよう定められています。
「殺菌」するためには、容器にコーヒーを入れた後に、高圧力・高熱をかける必要がありますがが。容器が「ペットボトル」の場合、この殺菌工程で、容器自体の耐熱耐久性の問題で、「スチール缶の方が製造が容易」なので、ペットボトルのコーヒーが製造されてこなかったのだと思います。
生産技術や品質管理の観点で捉えれば、容量が大きい(500ml)ペットボトルより、小さな(195ml)の缶の方が、短時間で高温殺菌でき品質低下も防ぎやすいです。
けれども、時代の変化とともに「価値観の変化」は必ずあるもので、「大容量のコーヒーを飲みたい」というニーズが出てきたわけです。
そして、製造技術としても「無菌充填技術」(殺菌されて無菌になった飲み物を、無菌のペットボトルに無菌の空間で充填する技術)が開発され、ペットボトルでの製造が容易になったのです。
こうして、いまや、コンビニやスーパーに行けば、ペットボトルコーヒー飲料製品が、どんどん目にするようになっていったわけです。
さて、少し話題は変わりますが、品質マネジメントシステム認証(ISO9001)の世界では、「設計・開発」について、ここでいう設計・開発(特に製造業の場合)とは、原則的には製品設計のことである。ただし、成型加工品のような製品の場合、設備である金型の設計が製品品質に大きな影響をあたえるケース、つまり、いわゆる工程設計を設計・開発に適用してもよいことになっています。
少し横道にさらに逸れますが、そもそも、サービス業の場合は、サービス提供プロセス自体を企画する行為(プロセス設計)が設計・開発になるので、製品設計、工程設計という発想自体があいまいです。
話題を「ペットボトルコーヒー」に戻しますが、「“ペットボトルコーヒーの製造”という製品を提供している組織」の場合、狭義の意味での「設計・開発」は、コーヒー飲料のレシピ(中身の仕様)を企画するプロセスです。
しかし、「ペットボトルのコーヒーが飲みたい」という消費者ニーズに応えるために、「耐熱性の高いペットボトルを開発」したり、「無菌充填技術を開発するプロセス」は、製造業でいう「工程設計」ではありますが、「ISO9001の設計・開発」を適用して業務プロセスをマネジメントシステム上位置づけて、管理することが望まれると私は思います。(もちろん、“べき論”ではありません)
要は、食品・飲料において、設計・開発を「中身の仕様を開発すること」に限定することに固執することは組織における業務プロセスの継続的改善という観点でも望ましくなく、もしかしたらマネジメントシステムを通じての組織の標準化やノウハウ蓄積を阻害することになる可能性があるかもしれない、と考えた方がいいでしょう。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ677号より)
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