組織の仕事の仕組み(マネジメントシステム)が国際規格に適合し、有効に機能しているかを第三者が審査し、世間に公表するISOマネジメントシステム認証制度がある。

 

このISOマネジメントシステムについて、最近、個人的に気になっている点を備忘録代わりに、何回かに分けて少しまとめておきたい。

 

今回のテーマは、「トップマネジメント」について。

 

トップマネジメントとは、ISO認証の世界では、規格で、

『最高位で組織を指揮し、管理する個人又はグループ』

と定義されています。

 

トップマネジメントの意味としては、一般的には、ISOでも定義されているように

「組織の指揮管理に関わる個人とグループの両方に対して」

使用されます。

「経営学の神様」といわれる経営学者のピーター・ドラッカーも著書において、

『トップマネジメントとは一人ではなくチームによる仕事である』

と言っていますし、

「さまざまな仕事を素早く・適切に処理するためには、トップマネジメントチームを結成するべき」

なのでしょう。

 

では、トップマネジメントの役割として、どんなものがあるかといえば、先ずは、

・事業目的

・経営理念

の明確化でしょう。

そして、組織として生き残り、顧客や社会に貢献するために、

・組織戦略

・事業戦略

を練る役割があるのです。

さらに、具体的には、

・自社の主たる事業は何か

・同業他社との差別化(強み弱み)

・今後、開拓すべき市場

・経営目標の達成度はどの程度、見直しの必要性

・事業の縮小、統合、廃止の検討

・設備・インフラ、人材といった資源の配分と適切な制度の整備

・・・

といったことの評価も行うのがトップマネジメントです。

 

ISOの世界では、オーナー企業のような組織であれば、オーナー=トップマネジメントで、客観的に、分かりやすいトップマネジメント構造です。

しかし、大企業で多岐にわたる事業を展開していたり、大企業のグループ子会社であったりすると、

・会社法上のトップ

・経営上のトップ

・マネジメントシステム上のトップ

などが区分けされている組織があります。

 

また、ひと昔前には、よくありましたが、本音では「認証審査のような外部監査を受けるのは嫌だ」と考え、「組織のナンバー2をトップマネジメント」に任命しているようなケースもありました。

認証審査という観点で考えると、本来は、組織の目的に沿ったあるべき姿の人物をトップマネジメントとして、位置づけるべきではありますが、各社に事情があるので「この方をトップにしてください」とは、認証機関の立場では、指示したり、指摘することは難しいです。

ただ、一般論ですが、

・代表取締役社長がいるのに事業部長がトップマネジメントとして位置づけられている

・経営戦略会議や事業計画の承認は社長なのに、専務取締役がトップマネジメントである

・環境・安全パトロールは社長が巡回し、指示事項の確認をしている

・緊急事態体制表では、「経営トップ」(社長)とISOトップマネジメント(常務)が存在する

・社長直轄部門として経営戦略室やコンプライアンス室があるが、トップは工場長である

・・・

といったような事例がある場合は、

「貴社には社長がいますが、なぜ、○○がトップマネジメントなんですか?」

といった諸事情は、確認するべきでしょう。

認証機関として、その組織の決定が、社会的に捉えて「容認できる」か否かをジャッジするのが、認証機関が果たすべき社会的責務だと私は思います。

 

私も経験がありますが、初回審査であれば、こうした事情は確認しやすいですが、正直、更新審査やサーベイランス(定期審査)では、トップマネジメントとして聞き取りをしている相手に「なぜ、あなたがトップマネジメントに任命されているのですか」とは聞きづらいでしょう。

でも、認証機関の審査員の矜持としてはもちろん、公平・公正・信頼性の観点からもうまい質問の仕方で、確認するしかないのです。

「どうやってきけばいいのか、聞きようがない」という発想をもし、持つようであれば、ちょっと認証機関関係者としては失格です。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ663号より)

 

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