2019年12月23日付の共同通信社が、
「竹中工務店を是正指導、労働局 大阪の現場で他社の社員に指示」
という見出し記事を報道していました。
この報道によると、(筆者が一部加筆編集)
・大手ゼネコンの竹中工務店が、大阪労働局から11月25日付で是正指導された
・是正理由は、工事現場で雇用や派遣契約をしていない他社の社員に仕事を指示したため
・職業安定法違反では、雇用契約がない労働者を指揮命令して働かせることを禁じている
・竹中工務店は、高槻市の新築工事の設計業務を子会社に委託し、子会社は大阪市の設計会社に再委託していた
・直接業務指示された社員は、設計会社に雇用された建築士
・2019年8月から工事現場で勤務し、竹中工務店社員から口頭などで仕事を指示されていた
(記事の引用ここまで)
ということだそうです。
仕事で、建設施工現場事務所に訪問する機会も多いですが、今回、大阪労働局から是正指示を受けたような仕事のやり方は、建設業では「常識」と化しています。
予想ですが、労働局も、建設業の実態は知っているので、おそらく、「通報」がなければ、是正指示は出されていなかったでしょう。
では、誰が、大阪労働局に通報したのか、ですが、竹中工務店の孫請けである大阪市の設計会社ではないでしょうか。
想像ですが、竹中工務店または、竹中工務店の子会社が施主である高槻市に提出する設計図を作成し、大阪市の設計会社は、建築物を施工する現場で必要な施工図を作成していたと思われます。
少し、設計図と施工図の違いを建築の場合で整理すると、
・設計図:部屋の広さ、高さ、仕上げ、形状などが明記された図面
・施工図:壁厚、芯の振分け、天板巾、材料の厚さなど施工に必要な寸法が明記された図面
です。
施工図を作成する過程で悩ましいのが、仕上げや形状が設計図で顧客に提示されているにもかかわらず、実際に施工する資材や設備を取り付けると、その範囲に収まらない、というケースが生じます。
こうなってしまうと、施主との協議で通常は解決していくのですが、もしかしたら、元請けである竹中工務店が、孫請けの設計会社に「なんとか設計図の寸法で納めろ」と無理な要求を再三にわたって命令指示し、耐えられなくなった設計会社が労働局に通報した、というパターンかもしれません。
心配なのは、竹中工務店による報復措置です。
この設計会社は、他のゼネコンからも「使いにくい会社」として元請け会社間で敬遠されることになるのではないでしょうか。
ふつうは、孫請け的には、それが怖いので、泣き寝入りするか、欠陥図面を書いて、施工段階に押し付けるか、といったような感じで仕事をこなしているのではないかと思います。
外野の意見ですが、「建設業界の常識」ともいえる受注形態について、問題が大きくなったのは、元請け代理人の調整力が欠如していたのではないかと思います。
元請けである竹中工務店が、施主(高槻市)、1次下請け(子会社)、2次下請け(設計会社)とうまくコミュニケーションを取り、調整すれば、このような事態にならなかったのではないかと思います。
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