2019年10月29日の共同通信が、
「日本水産、缶詰5万6千個を回収 菌混入で膨張、いわし水煮」
という見出し記事を報じていました。
記事によれば、
・日本水産は10月29日、ベトナムで製造し、輸入販売している缶詰の自主回収を発表した
・自主回収する缶詰は、「ニッスイいわし水煮(175グラム)」
・9月25日に量販店の従業員が、膨張している商品を見つけた(全国で9月から発売)
・対象商品は、5万5872個で賞味期限が2022年7月または8月と記載された商品
・缶の加熱殺菌工程の後に常在菌の一種が混入したことが原因とみられる
・現時点で健康被害の報告はないが、食べると下痢などの症状が出る恐れがある
ということだそうです。
早速、日本水産のウェブサイトを確認してみました。
すると、2019年10月29日付で「お詫びと回収のお知らせ」と題した文書が掲載されていました。
http://www.nissui.co.jp/news/pdf/20191029.pdf
私見ですが、共同通信の記事とこのお詫び文から気になる点は、
・缶が膨張した商品が見つかったのが9月25日なのに公表されたのはなぜ10月29日なのか
・「日本産いわし」とあるが、日本の漁港で水揚げされた「いわし」をベトナムに輸送しているのか
という点です。
食品工場に勤務する知人にこの件について聞くと、
・いわしの缶詰は、手作業が多く、人件費がコストに大きく影響する
・いわしの加工は、うろこ、頭、ひれ、内臓を手作業で処理する
・いわしは傷むのが早いから、ベトナムの委託工場の加工工程と作業を再確認するべき
だそうです。
日本水産のお詫び文では、「謝罪と処置(返金)」については触れていますが、「原因、再発防止」については「調査中」となっています。
膨張した異常な商品が店舗で見つかってから1か月以上も経過しているわけなので、「回収すればいいだろ」という話ではなく、なぜ、発表が発見から1ヶ月も経過したのかをきちんと説明するべきだと思います。
また、このコラムでも、食品の回収の報道は何度も扱っていますが、その後、ウェブサイトを確認しても、「どのような原因で、どんな対策を取ったのか」についてほとんどの会社で、公表していません。
回収後の再発防止策について「聞かれたら回答する」という姿勢ではなく、しっかりと、公表することが、消費者への信頼感向上につながると思いますし、製造メーカーとしての責務だと思います。
ちなみに、日本水産のウェブサイトによると、国際的な食品安全マネジメントシステムの認証規格であるFSSC22000を日本水産(ニッスイおよび国内グループ会社)は、17の国内事業所で取得(2019年10月現在)しているそうです。
今回回収された商品の委託工場であるベトナムの工場の製造管理はどうなっているのか?管理レベルは国内と同等レベルなのか?について明らかにして欲しいです。
また、量販店など全国の卸売り、小売り業者も、日本水産の海外委託工場生産品についてもFSSC22000の取得要求をして行くべきではないかと思います。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ670号より)
【好評発売中!】
『ISOの復権 マネジメントシステム認証制度が社会的価値を持つために必要なこと』
(ブイツーソリューション刊)
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4434262858/bloglogcom-22/ref=nosim/
【よかったらメルマガ読者登録お願いします♪】↓
(パソコンでアクセスしている方)