組織の仕事の仕組み(マネジメントシステム)が国際規格に適合し、有効に機能しているかを第三者が審査し、世間に公表するISOマネジメントシステム認証制度がある。
このISOマネジメントシステムについて、最近、個人的に気になっている点を備忘録代わりに、何回かに分けて少しまとめておきたい。
今回のテーマは、「ISO認定認証制度」について。
ISO認証の世界には、大まかに、
・マネジメントシステム認証
・要員認証
・製品認証
がありますが、ここでは、マネジメントシステム認証について、触れます。
まず、よくある質問のひとつに、「認定機関と認証機関の違いは何ですか?」というものがあります。
私は、一般の人が理解しやすい事例に例えて説明します。
よく利用させてもらうのが「大学」や「自動車教習所」です。
ざっくり説明ですが、
・大学の場合:認定機関に相当するのが文部科学省、認証機関に相当するのが各大学
・自動車教習所の場合:認定機関に相当するのが公安委員会、認証機関に相当するのが各教習所
です。
つまり、大学でいえば、「大学」と称してカリキュラムを独自に組んで、学生に授業(教育サービス)を提供することは自由です。
しかし、日本の場合、文部科学省の認可を受けていなければ、卒業してもその卒業証書は、世間的には単なる「紙きれ」です。
一方、文部科学省の認可を受けている大学であれば、必要単位を取得して卒業すれば、卒業大学のブランド云々を無視すれば、国家試験を受験あるいは公的資格を取得する際に「大卒者は一次試験免除」というような規定がある際に、その卒業証書は通用することになります。
自動車教習所の場合でいえば、公安委員会から指定を受けた公認自動車教習所と指定されていない非公認自動車(届出をしている場合もある)の結果としての違いは、前者は、卒業すれば運転免許試験場で学科試験のみですが、後者の場合は、学科試験に加えて実技試験も受験する必要があります。
話題をISO認定認証制度に戻しますが、難しい説明を抜きにすれば、
・認定機関から認定を受けている認証機関の登録証→国内はもちろん、全世界で通用する
・認定を受けていない非認定の認証機関の登録証→取引先毎の判断で決まる
ということになります。
もう少し難しい話をすれば、ISO認定認証制度のような適合性評価の世界では、
・認定(accreditation):
マネジメントシステムの認証機関の活動が国際的な基準に従い、公平・透明に行われているか
どうかを審査し、公式に認め、登録すること
・認証(certification):
マネジメントシステムの要求事項を定めた規格(例:ISO9001、14001等)に合致しているか
どうかを第三者が審査し登録すること
という違いです。
ISO認証については、何度か触れていますが、1990年前後に日本企業が初めてISO9001の認証取得した当時より、認証自体の価値は下がっているように思います。
例え話に出したような「大学」や「自動車教習所」については、その先に「資格試験」の条件(受験資格や一部試験免除など)に繋がっているのですが、ISO認証の場合、国家や公的な組織が近年では、あまり取引の必須条件としなくなってきたので、「無理して維持しなくてもいい」という組織が増えてきているようです。
確かに、組織が、社会的な信頼性を登録証に求めず、
・ISO認証審査など関連活動を通じて、組織体制を整理し、改善のツールとする
・ISO認証審査など関連活動を通じて、社員のモチベーション向上と力量を高める
といった目的であれば、むしろ、非認定の認証機関の方が融通が利く組織の目的に合った認証審査をしてくれるかもしれませんね。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ662号より)
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