組織の仕事の仕組み(マネジメントシステム)が国際規格に適合し、有効に機能しているかを第三者が審査し、世間に公表するISOマネジメントシステム認証制度がある。
このISOマネジメントシステムについて、最近、個人的に気になっている点を備忘録代わりに、何回かに分けて少しまとめておきたい。
今回のテーマは、「登録範囲(製品)の表記の原則」について。
ISO認証している組織の「登録範囲の表記」については、何度か触れていますが、議論となる点は、大きく「組織名称」と「認証製品・サービス」の2つあります。
後者について思い出したことがあるので、少し触れておきます。
「製品・サービスの登録範囲の表記」について、マネジメントシステム規格毎(品質、環境、食品、航空宇宙、情報セキュリティ・・・)、また、産業分野毎に若干の違いはありますが、共通の基本ルールは存在します。
製品・サービスについて、一般的な登録表記に関する基本原則は、
1.産業分類が特定できる程度の明確さ
2.製品・サービスの明確さ
3.設計・製造、設計・施工、開発・製作といった主たるプロセスの表記
4.認証範囲に複数の製品・サービスがある組織は、その全てを表記
という点です。
産業分類には、大きくは、製造業とサービス業があります。
この基本的な表記は、
・製造業:○○の設計・製造
・サービス業:△△の企画及び提供
となります。
製造業の場合、「製品を作るだけで製品設計は実施せず、発注者から指示されたものを作るだけです」という組織の場合は、
・○○の製造
となります。
また、「製品の設計はするけど、製造は100%協力会社に委託生産しています」という場合は、
・○○の設計及び製造委託管理
となります。
このように「製品・サービス」について登録証に表記することで、市場は、「この会社は設計も製造もするんだ」とか「設計はするけど製造は自社工場がなく委託しているんだ」ということが明確に判断できるわけです。
少し話は変わりますが、以前、話題にした「鉱業、採石業」です。
この産業には「採掘」という言葉が出てきます。
辞書で「採掘」を調べると、
「地中に埋もれている鉱物などを掘り出すこと」
を意味します。
つまり、
「鉱物を掘り出して出荷する」
という業態の場合は、
「○○の採掘」
が製品・サービスになります。
例えば、「原油を掘って出荷する」会社であれば、
「原油の採掘」
となります。
しかし、原油はそのままでは、使用できません。
工業製品としての原油は、重油、軽油、ガソリン、ジェット燃料、灯油、潤滑油などの石油製品とする必要があります。
こうした石油製品とする会社は、「石油精製業」なので、製品は、
「重油、軽油、ガソリン、灯油の製造」
といったような標記になるでしょう。
ただ、石油の場合は、「原油を採掘する会社」、「原油を購入し精製して石油製品にする会社」が産業としてわかれていますが、「鉱業」の場合は、「掘って出荷する」という会社ももちろんありますが、多くは、用途に応じた加工(製造)をして出荷しています。
(注:設計の有無の議論は省きます)
その会社が、「採掘した石を運搬上と顧客要望上、多少砕いて出荷する」という場合は、
「○○の採掘」
という範疇だと思います・
しかし、掘り出した石を建設用、製鉄用、食品用といったように用途別に加工を施す場合は、
「○○の製造」
あるいは、
「○○の採掘、製造」
が妥当な表記でしょう。
登録範囲について、製品・サービスの表記については、その会社の「製品とは何か」、そして「主たるプロセスが何なのか」を十分に理解して決めることが重要です。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ664号より)
【好評発売中!】
『ISOの復権 マネジメントシステム認証制度が社会的価値を持つために必要なこと』
(ブイツーソリューション刊)
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4434262858/bloglogcom-22/ref=nosim/
【よかったらメルマガ読者登録お願いします♪】↓
(パソコンでアクセスしている方)