2019年9月6日付の産経新聞が、
「西川氏の報酬不正 日産取締役会、辞任は求めない方向」
という見出しの記事を報じていました。
記事によると、
・日産自動車の西川広人社長は、株価に連動する役員報酬を上乗せして受け取った(社内規定違反)
・日産自動車は、取締役会で西川氏に辞任を求めるなどの強硬姿勢には出ない方向
・経営を監視する社外取締役の一人は、「法律違反ではない」と悪質性を否定
・上乗せ分の返納と処分で済ませる考えを示唆している
・西川氏の進退の問題に、すぐに発展する可能性は低い
そうです。
要は、
・監査委員会が実施した社内調査によると、西川氏以外にも上乗せ報酬を得ていた役員がいる
・経営の継続性を保つために、次の社長がすぐには決まらないので、西川氏に続投させる
・西川氏を始め他の上乗せ報酬の社内規定違反者の役員を退任させると組織がガタガタになる
ということから、「すぐには退陣を求めない」ということなのでしょう。
ただ、それでは、株主や社員に対して示しがつかないし、ゴーン会長の有価証券報告書への虚偽記載でゴーン元会長を社会的に葬り去ったのに、不正に報酬をすでに受け取っている現役員が、期間限定とはいえ「現在の地位に留まる」というのは、世間が納得しません。
私が社外取締役の立場であれば、確かに悩ましい判断ではあります。
しかし、西川氏や他の社内規定違反で上乗せ報酬を受け取っていた役員が「余人をもって代えがたい存在」とは、とても思えません。
日産自動車というあれだけの組織に「次の経営者候補」が育っていないのだと仮にするなら、あるいは、外部から招へいする適当な人材がいないということであるならば、それはそれで、問題です。
「一部の役員が悪いこと(規定違反の上乗せ報酬受取り)をしていても、トータルで考えれば、組織の体制を急激に弱体化させないためには現状を維持するのが望ましい」
という社外取締役の発想(考えや判断)が理解できないわけではありませんが、日産自動車という組織に対する世間の信頼性は、低下したといっても過言ではないでしょう。
せめて、
・現役員体制をいつまで維持するのか
・次の経営トップの就任時期はいつになるのか
・社内規定違反をしていた他の役員の交代時期
については、今後の計画を世間に示すべきでしょう。
そうでなければ、「なんのための社外取締役なんだ」、と思います。
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