就職情報サイト「リクナビ」を運営するリクルートキャリアが、就活学生の「内定辞退率」の予測データを販売していた問題について、追加報道が続々と報じられています。
リクナビがAIを通じて分析したデータをで、ホンダ、トヨタ、大和総研ホールディングスに続き、NTTコムウェアとNTTファシリティーズの2社も購入していたことが2019年8月14日に分かったそうです。
8月14日付の共同通信社の報道では、
・NTTコムウェアとNTTファシリティーズとも「採用の合否判定には使用していない」としている
・両社とも購入目的について「内定者への対応の際の参考にしていた」としている
・リクルートキャリアは、合否判定に使わない条件で38社に販売したとしている
とのことです。
したがって、現在、世間的に判明している5社以外の33社も、今後、社名が報じられていくでしょう。
ただ、購入した38社は、これまで判明した5社のように、口が裂けても「採用の合否判定の参考にした」とは言えないでしょう。
個人的には、
・学生に承諾を明確に取っていないデータを活用した
・リクナビは、就活生の信頼を踏みにじった行為をした
・個人情報保護法や職業安定法違反の可能性がある
という点で、総論では「リクナビはしっかりと反省すべき」と考えます。
ただし、そもそも論ですが、「マッチングビジネス」(情報仲介ビジネス)とは、
【「悩みを持っている人」と「それを解決できる人」を結び合わせる】
ビジネスではないでしょうか。
つまり、就活に関して言えば、
「悩みを持っている人」:就活生、新卒募集している企業
「それ(悩み)を解決する人」:リクナビ
となります。
したがって、就活生は、自分の人生設計に見合った企業に就職したい、企業側は、組織が求める人材を採用したい、という悩みがあり、それを解決する役目をリクナビが担っているわけです。
要は、悩みを持つ双方にとって「ベストマチング」を実現することが、マッチングビジネスの本質です。
実際のところ、いくら優秀であっても、内定を辞退する傾向がある学生ばかりに内定を出し、再募集することになったら、採用コストは膨らみ、残った人材の中から採用するとなると、優秀な人材確保ができなくなる恐れがあるので、「内定辞退率予測」を企業側が欲しくなるのは当然です。
そのようなわけで、今回のリクナビについては、就活生とデータ販売先企業に対するマッチングビジネスの本質理解とデータ管理、AIデータ活用の承諾手続きに、問題はありますが、「双方にとってのベストマッチングを提供するのがマッチングビジネス」という原点で考えれば、リクナビは、
・今回の問題点
・改善すべきポイント
・マッチングビジネスの本質
・AI活用における就職データの活用の社会的意義
といったことに対する考えを世間に対して会見するべきでしょう。
そうしたことを認識したうえで、就活生や企業はリクナビを利用すればよいし、「データを提供したくないし、そんなデータを活用するのは人材採用における学生との信義則に反する」と考える就活生や企業は、リクナビシステムを利用しなければよいわけです。
話題は少し変わりますが、そんな私も就職活動の際には、内々定が出ていた大手電機メーカーを辞退し、政府系特殊法人に就職しました。
その後、何度かの転職を経て、独立している現在に至っていますが、内定辞退にしても、転職にしても、私の場合のきっかけは「人」によるところが大きかった気がします。
「研究職に絶対就きたいのに営業職だった」というようなケースを除き、学生時代に考える「やりたいこと」や「やりがい」は、職場における環境において、9割以上は入社後に変化するのではないかと思います。
私の経験でも、「この後輩は優秀だったのに、最初に配属された部署長が辞める(転職する)原因だったんじゃないか」というケースは何度かありました。
AIデータを購入した企業が、その分析情報を第一主義にしてしまうようになるのも(それは企業のリスクですが)、また変な話になるな、と思います。
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