2019年7月29日付のダイヤモンドオンラインが、
「建設業界は業績絶頂なのに「身売り」が多発している理由」
という見出し記事を掲載していました。
記事では、
・飛島建設に身売りした小笠原諸島で創業した千葉県にある15億円規模の地場ゼネコン
・戸田建設の傘下に入った福島県にある100億円超の地場ゼネコン
のケースを取り上げていました。
このケースに共通するのは経営者の後継者がいなかったことです。
後継者問題は、どの世界でも悩みのタネでしょう。
ただ、記事によると、もっと深刻なのは、
「職人や技術者不足」
に伴う倒産や廃業だそうです。
記事では、
・人手不足は、バブル崩壊後に続いた建設不況
・2008年のリーマンショックの際に人員削減をした付けが回ってきた
・新たな人材を取り込もうにも、業種を問わず人手不足が叫ばれている
・しかも建設業は、「きつい」「汚い」「危険」の3K職場というイメージがある
・建設業は若者に敬遠されている
・他の産業と比較して若年層の割合は減り、高年齢層の割合が増え続けている
・建設業界ではこれを表すグラフを「ワニの口」と呼んでいる
・その口は閉じることなく、広がるばかりで、今後10年で職人の3分の1が引退する
そうです。
私がコンサル等で建設業の会社に訪問しても、「新卒の採用は皆無です」とおっしゃられる経営者が殆どです。
工業高校に求人を出してもまったく集まらず、農業高校に求人をだしてようやく1人確保できた、とおっしゃる高校もあるぐらいです。
では、なぜ、職人や技術者不足なのか?
それは、
・技術職の割に給与水準が低い
・コンプラや安全管理の徹底で昔よりやることが増えているのに単価が変わらない
・元請けと下請けの契約単価が公平でない
・3次、4次下請けになると奴隷のように働かされる
といったことが大きいようです。
確かに、建設業の会社に訪問してお話を聞いていると、
・新規入場の場合、新規入場者教育があり、朝が早い
・RKYやTBMをしっかりやると作業時間が割かれる
※RKY:リスクアセスメント危険予防活動、TBM:ツールボックスミーティング
・建設業は大手ゼネコンのひとり勝ちの世界
・元請が消化しきれない業務を下請が低賃金、休日返上、日々残業でこなしている
・・・
といった話はよく耳にします。
第一次安倍内閣時代の某大臣がよく「トリクルダウン理論」、つまり「富める者が富めば、貧しい者にも自然に富が滴り落ちる」という経済理論を言われていますが、建設業でいえば、人件費に関する積算単価が適正に下請け業者に支払われているか否かをチェックする仕組みが無ければ、トリクルダウン理論は、成り立たないんでしょうね~。
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