所属タレントの闇営業問題(反社会的組織のパーティ)に端を発した吉本興業HD関連の報道が連日続いています。
闇営業→反社会的組織のパーティに出席→パワハラと話題は変遷していますが、その流れにおいて、吉本興業HD(吉本興業など子会社も含めた意図で以下記述)として「コンプライアンス違反の懸念」がささやかれています。
ポイントとなるのは、ひとことで言えば「紙(電子媒体含む)の契約書、発注書がないこと」に尽きるでしょう。
以前から、吉本興業所属タレントはバラエティ番組などで、ネタとして「うちは、契約書がないんです。だから売り上げの何パーセントが取り分かわかりません」という話をよくしています。
それを受けて、記者から質問を受けた吉本興業HDの大崎洋会長も、
・吉本のポリシーとして、芸人、アーティスト、タレントとの契約は専属実演家契約
・吉本の場合は口頭でやっている
・今後も契約書は作成しない
旨を明言しています。
つまり、文書化された契約書も発注書もないわけです。
これについて、弁護士で、コンプライアンスの専門家でもある郷原信郎氏は、
「下請法違反の疑い」
をコラムで述べています。
このコラムでは、
・直接の発注者である吉本興業は資本金1000万円以下である
(下請け法上は適用外)
・しかし、実質的な親会社は吉本興業HDで大企業である
・下請法では、発注書面交付義務があり、吉本の場合も適用されるのではないか
という主張です。
私は法律家でないので、適用解釈と実務はわかりませんが、一般的な市民感情でいえば、コンプライアンスは「社会の要請に基づくこと」であり、その点で考えれば、郷原信郎氏の主張に同意です。
また、郷原氏は、経済法学者の楠茂樹上智大学教授の主張である
・下請法は独占禁止法の優越的地位乱用規制の補完的立法である
・資本金等の要件から下請法が適用されないケースにおいては、独占禁止法がダイレクトに適用されることになる
との主張を支持しています。
つまり、
・契約書を交わすのは、商取引の基本である
・契約書がなく、発注書を渡さないのは、吉本興業側が自由に条件を変えたいから
・つまり、独禁法の「優越的地位の濫用」にあたる
と述べています。
私の疑問は、
・なぜ、かつては上場企業であった吉本興業HDが上場審査にパスしたのか
・デビュー前のタレントとは契約書を交わしていないジャニーズ事務所の扱いはどうなるのか
の2点です。
前者については、公正取引委員会が動いているようなので、各方面からの圧力などがなければ、いずれ調査されることになるでしょう。
気になるのは、ジャニーズ事務所です。
吉本興業に関しては、一部の在京放送局が「露骨な吉本擁護」をしていますが、基本的には、コンプライアンス面からの非難系の報道です。
しかし、ジャニーズ事務所については、私の知る限り大手メディアは、一切触れていません。
やはり、政治家、テレビ局等は密接なつながりがあり、忖度が働いているのでしょうか。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ656号より)
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