日本郵政の職員が、かんぽ生命の契約で、契約者が不利益な契約を行っている問題の報道が連日のように報道されています。
この問題の詳細がわかってくると、こうした「悪質な契約問題発生の原因」は、日本郵政の営業ノルマの仕組みにあることがわかってきました。
今回の悪質な契約問題は、ざっくり、2種類あります。
それは、
1)新規契約を締結し、旧契約も維持しつつ、7ヶ月目に解約させる
2)既存の契約を解約し、4か月後に新規の契約を結ばせる
というふたつです。
顕在的な不利益として、前者は、
・契約者は2重払い期間が生じる
という問題が発生し、後者は、
・無保険期間が生じる
・病気などが理由で新規保険に加入できない
という問題が発生しています。
なぜ、このような「契約手続き」を日本郵政の職員は行っていたのか?
それは、前者のケースは、
・6ヶ月以内に旧契約が解約されると新規契約が「新規契約」としてカウントされない
・したがって、営業成績にカウントされず、課された営業ノルマが達成されない
という理由で、後者のケースは、
・保険解約後3ヶ月以内の同一契約者の新規契約は「新規契約」としてカウントされない
という理由があるからです。
話は少しそれますが、感覚的には、おそらく、日本郵政の営業職員には、
・新たな新規契約を取るのは難しい
・新たな契約を取るより、既存契約者を利用して「新規契約」を作ることはノルマの為に賢明
・ただ、新規契約は欲しいが、契約者が新規契約条件を満たさないと無保険になってしまう
・無保険期間が生じてその間に保障が受けられないと契約者からクレームが出る
・・・
といった心の中での葛藤、があったでしょう。
この問題が悪質なのは、
・日本郵政グループに対して信頼感を抱いている高齢者を実質的にだましている
・長年の地域的な付き合いから、顧客の家庭・経済状況を把握した上での勧誘である
という点です。
「保険勧誘時は、一応、重要事項を説明しているのだし、契約者も同意の署名をしているからかんぽ生命側がだましたわけではなく、ちゃんと確認しなかった契約者が悪い」
という論法をおっしゃる方もいますが、それは少し違うと思います。
一般的に、生命保険の仕組みは複雑ですし、民営化されたとはいえ、信頼を寄せている実質的に現状、国が経営している日本郵政グループの保険だからお勧めされた通りに契約します、という契約者もいたでしょう。
さて、この問題ですが、責任問題を考えた場合、
・強引な乗り換え勧誘をした営業職員が悪い
・営業ノルマのカウント方法を設計した組織が悪い
・顧客の利益より営業ノルマを達成した者が出世できる制度を作った組織が悪い
といった「悪い」があると思います。
コンプライアンスを考える上で、「不正誘引」という考え方があります。
この「不正誘引」という考え方であれば、直接的に「強引な勧誘(詐欺に近い)に手を染めた」のは、営業職員ですが、悪いのは「不正を誘引しやすい制度設計を作った組織とそれを承認した組織幹部が悪い」と考えることができるでしょう。
私は以前、中堅生命保険会社の経営コンサルティングを5年ほど担当していたのでわかりますが、民間の生命保険会社では、
・何が何でも新規契約獲得という価値観は薄れた
・営業成績に顧客満足度を加味するようになった
・乗り換え契約の場合、不正な勧誘がなかったか監視している
といった仕組みが確立しています。
つまり「マネジメントシステム」として、今回のかんぽ生命のような問題は、発生しにくい仕組みが構築されているわけです。
それにしても、現在の日本郵政グループの経営陣は、旧郵政省出身者や日本郵政出身のたたき上げの方もいるのかもしれませんが、大手銀行や生命保険会社出身者もいます。
なぜ、民間出身者もいるのに、このような営業ノルマや出世に繋がる業績評価制度が作られてしまったのか、疑問が残ります。
いずれにせよ、今の時代のコンプライアンスで考えれば、「組織の営業ノルマや報酬・人事制度設計」に欠陥があることは間違いありません。
金融庁は、するどく切り込んで、かんぽ生命の再発防止策とその実行をチェックしていって欲しいものです。
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