第198回通常国会は、2019年6月26日に閉幕しました。
これで、7月4日公示、21日投開票の参院選に突入です。
今回の国会で可決した法案のひとつに「改正児童虐待防止法と改正児童福祉法」があります。
主な改正ポイントは、
◆親がしつけに際して体罰を加えることを禁止する
◆児童相談所の一時保護と保護者支援の担当を分ける
◆児童相談所には医師と保健師を配置する
◆学校、教育委員会、児童福祉施設の職員に守秘義務を課す
◆都道府県などは親に対して再発防止の指導を行うように努める
◆家族が引越しした場合に、児童相談所間で速やかに情報を共有する
などです。
これらの改正ポイントを見ると、社会的問題となった児童虐待に関するニュースが思い起こされます。
例えば、児童相談所間の速やかな情報共有や児童関連業務の職員に対する守秘義務が徹底されていないために痛ましい事件が発生したわけで、今回の改正は、これらの問題に対処した改正といえるでしょう。
ただ、気になるのは、2018年10月1日現在、児童相談所の数は全国で212あり、ただでさえ「医師不足」なのに、配置する余裕があるのだろうか、と思います。
また、「医師・保健師の配置」といっても、児童相談所に配置する目的から考えて、肉体的、精神的虐待の可能性を判断しないと意味がないわけで、医師、保健師としての通常の力量だけでなく、カウンセリング能力など「児童に関する専門的力量」が必要になるでしょうから、「単に配置すればOK」というわけにはいきません。
また、「しつけに際して体罰を加えることの禁止」は、基本的には、大賛成です。
しかし、
・こどもが18歳まで適用
・親権がある親と同棲している大人には不適用
だと思うので、少し問題もあると思います。
明らかに、こどもが肉体的に「親にはかなわない」と感じる小学校低学年までならいいですが、中学生や高校生など体力的に親に勝る状態に成長した時に、こどもは法律で守られていますが、親は守られていません。
親が子供からDVを受けていて、警察に相談しても「民事不介入」を理由に、門前払いされてしまうのではないでしょうか。
また、親が再婚するなどした場合は、法律は適用されますが、同棲相手からこどもが虐待を受けた場合は、法律の適用外でしょう。
世の中には、「しつけの一環で、はたく、こずく、キツく声をあらげて叱る」などは「教育上必要」と考える大人は多いですし、教育学者の中にも「時と場合によっては必要」という人もいます。
しかし、法律で、学校教育法の適用となる教職員、そして親による「体罰禁止」が法制化されたので、「体罰によるしつけ」をしてもらいたいと考えたら、学校教育法が及ばないスポーツクラブや武道、作法、習い事などの教室で「しつけを目的とした体罰」(教育側は親の同意書を取って)をしてもらうしか方法はないのかもしれません。
2020年4月から適用になるようですが、政府はその前に「体罰(肉体的、精神的)と判断するガイドライン」を作成するそうです。
どんなガイドラインになるのか、注目です。
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