よく環境マネジメントシステムのコンサルティングをしているときによく受ける質問として
「従業員が排出する弁当ガラは、事業系一般廃棄物ですか?それとも、産業廃棄物ですか?」
というものがあります。
排出する場所、シチュエーション、などにより解釈は異なる場合もありますが、結論から言えば、
「行政の解釈はさまざまです」
というのが結論です。
ただ、それでは、質問してくれた方が所属する組織は困ってしまいます。
そこで、一般的な考え方は、示しています。
まず、首都圏の自治体の判断ですが、
【東京都】
「産業廃棄物」である。
ただし、排出場所の市区町村が事業系一般廃棄物として引き取ると言えば、事業系一般廃棄物として処理されることもある。
【千葉県】(政令指定都市の千葉市、船橋市、柏市を除く)
「事業系一般廃棄物」である。
従業員の生活の延長線上で排出されたものと解釈している。
【神奈川県】
「排出責任がある事業者の判断」である。
事業系一般廃棄物か、産業廃棄物かの判断は排出責任を持つ事業者の判断による。
ただし、一般廃棄物と判断した場合にそれを一廃として受け入れるかの判断は市区町村の施設によるため、市区町村が一廃として認めなければ産廃として処理すべきである。
となっています。
個人的には、排出者としては困ってしまいますが、コンサルタントの立場から言えば、「神奈川県の見解」がまさにその通りだろうな、と思います。
基本的に、事業系一般廃棄物は、市町村が処理します。
したがって、市町村が保有する処理施設に余裕があれば、例えば、家庭ごみをプリペイド袋で排出するのと同様の方法で事業者の廃棄物も引き取るでしょう。
しかし、事業者の従業員規模が多い、あるいは、市町村の施設が家庭ごみを処理することで満杯、という状況であれば「産業廃棄物として処理してください」と市町村は判断すると思います。
つまり、「市町村の状況による」というのが、実態だと思います。
個人的見解ですが、県や市町村の見解を横において、排出者だけの理屈でいえば、「会計処理と連動して考えるのが道理」だと思います。
つまり、弁当ガラであっても、「会社行事」や「顧客との打ち合わせ」など「業務上生じた弁当ガラ」は、会計処理的には「経費扱いの弁当」ですから「産業廃棄物」。通常の昼食など「生活の一部として生じた弁当ガラ」は「事業系一般廃棄物」として捉えるのが妥当な気がします。
それから、応用編ですが、オフィスビルの場合を考えると、これがまた、自社ビルから排出する場合とは異なります。
これも一般論ですが、オフィスビルにテナントとして入っている場合、通常は、そのオフィスビルの管理会社が指定した処理業者へ廃棄物を委託することが一般的です。
つまり、管理会社が契約した業者が「弁当ガラ」は「事業系一般廃棄物」として引き取ります、なのか、「産廃扱いとして引き取ります」と考えるかによって、いずれかの区分で一括処理されます。
したがって、仮に、テナントとして入っている企業が、自社ルールで「事業系一般廃棄物」あるいは「産業廃棄物」と決めて排出しても、事業者の考えとは異なった処理をされる可能性があります。
ビル所有者、あるいはビルの管理会社目線で考えれば、「処理費用を安くしたい」でしょうから、廃棄物処理を委託する業者の処理費用が、事業系一般廃棄物と産業廃棄物のどちらが安いかで、判断するか、あるいは、業者のいいなりで区分を決めて各テナントから排出されたごみを一斉処理しているのが現状でしょう。
おそらく、テナント企業は「ビル管理会社にごみの処理は任せている」という意識でしょうし、ビル管理会社も「委託業者に任せている」という程度の意識だと思いますが、理屈で考えれば、排出者はテナントビルの場合「ビル所有者あるいはビル管理会社」なので、はっきりとした理屈と意思をもって処理方法を決め、各テナントにも処理方法を明確にして、周知する必要があるでしょう。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ616号より)
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