ファミリーレストラン「ガスト」が「実現不可能なキャンペーン」を企画して2019年4月24日に謝罪・企画取り下げとなり、取り下げ翌日の25日に第2弾が発表されたことが話題になっています。
ガストの企画がどのようなものであったか、振り返っておきます。
(以下、ネット記事等より編集)
・4月22日~5月15日の期間、全国47都道府県の店舗で1000円以上飲食をした先着50人の客を対象に、1000万円分の食事券(一人上限20万円)をプレゼントする企画
・達成には1日平均で57店を回り、飲食代だけで最低136万円かかる
・4月22日のキャンペーン発表後、ツイッター上では「実現不可能だ」との指摘が相次いだ
・ガストは4月24日に公式サイトで、キャンペーンの中止を発表した
・ガスト側は「(企画は)全国に1300店舗以上あることを、楽しみながら知って欲しいとの思いだった」と混乱を招く意図はなかったと説明した
・事実上達成が不可能なキャンペーンだったため、景品表示法の観点からも問題が指摘されているが、ガスト側(すかいらーくホールディングス)は法的確認をしており問題ないと説明した
・ウェブサイトで、お詫び文掲載の翌25日、先のキャンペーンを踏襲した第二弾を発表した
・第2弾は、4月25日~5月15日の期間に5店舗を回り、1000円以上の飲食をした客が対象で、食事券10万円分を抽選で100人にプレゼントするというもの
・第1弾の取り下げから間がなかったため「炎上商法だったのか」との声もネットでは上がっている
・ガストサイドは、「混乱を招いたため、迅速に対応しないとの思いで急いで社内協議に入った」と説明した
(編集ここまで)
ガストを運営するすかいらーくホールディングスの広報の説明をそのまま受け取ると「悪気はなかった」ということで終了です。
しかしながら、個人経営の飲食店のキャンペーンと違って、全国に1300以上の店舗を抱える大企業のキャンペーン企画です。
キャンペーン企画には「遊び心」があって当然で、それは大賛成ですが、個人的には「キャンペーン企画が社内プロセスとしてどのように決定したのか」に興味がわきます。
気になる点は、
・当初企画は23日間で1日57店舗訪問と事実上実現不可能
・景品表示法の観点をチェックしている割に、企画の実現可能性を十分検証していない
・最低136万円コストがかかる(交通費なし)のに食事券は上限20万円とメリットがない
・不正などリスクの想定と防止策は検討されていたのか
・第2弾の発表が第1弾の取りやめ直後であるが、店舗にはしっかり伝達されていたのか
などです。
キャンペーン企画は、本社主導の企画だと思いますが、どのようなプロセスでキャンペーンが決まり、キャンペーン企画者の能力はどのように組織で決められているのか知りたいところです。
第1弾企画は、一見してすぐに「無理な企画」とわかるものですが、最終的にゴーサインを出した責任者は、どのような能力・立場の人間なのだろうか、と思います。
念のため、メルカリをチェックすると、ガストのレシートが出品されていました。
また、ガストにはセルフレジがあり、レシート不要の人は、レシートを置いていける箱があります。
変な話、食事をせずとも、レシート置場からレシートを持ち去り、5店舗分かき集めることも不可能ではないはずです。
ちなみに、ガストではありませんが、ソフトバンクと吉野家がコラボした企画では、店舗のオペレーションがてんてこ舞いになっていた事例がありました。
これも、企画先行で、現場において発生するであろうリスク想定と対策案が不十分だった例です。
それにしても、今回のガストのキャンペーンの目的が、
「全国に1300店舗以上あることを、楽しみながら知って欲しい」
という趣旨で企画されたのであれば「期間中に5店舗を巡る」という第2弾の企画は、なんともしょぼいです。
都内のように店舗密集地域であれば、「全国1300店舗」とは無縁で達成で、地方店舗の存在は認知もされないでしょう。
例えば、食事券総額1000万円キャンペーンであるならば、
・期間中に異なった5店舗以上の利用:C賞
・期間中に異なった都道府県の5店舗以上の利用:B賞
・期間中に異なった店舗30店舗または異なった都道府県の店舗10店舗以上利用:A賞
として、A賞:30万円、B賞:10万円、C賞5万円(いずれもお食事券、応募者多数は抽選)といった企画にすれば面白いのに、と思います。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ643号より)
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