何年か前のことですが、環境マネジメントシステムを導入している組織のISO14001:2015年版の内部監査員教育を依頼されて、講習会をしました。
その時に、規格の説明とロールプレイだけでなく、その組織の環境マニュアルや手順書についても意見が欲しい、とのことでした。
具体的に書くと差しさわりがあるので、少し脚色しますが、その組織は、部品を成形する製造業で、ここ数年、納入先が電子・電気機器メーカーから自動車関連メーカーや介護ケア製品にシフトしているような組織でした。
まず、環境側面評価表をチェックしてみました。
すると、売上や納入先の変化があるにもかかわらず、環境側面や著しい環境側面一覧表は、ほとんど変化していませんでした。
要は、製造のアウトプットである製品が電子・電気部品から自動車関連部品や介護ケア製品用部品に変わっていても、環境側面や環境影響に変化がないのは、私は違和感がありました。
なぜ、そのような環境影響評価になっているかといえば、
・使用原料がほとんど変わっていない
・使用設備が変わっていない
・製造プロセスも大きな変化がない
ためでした。
私が聞き取りしていくと、製品が変わったことで、
・製造委託先が変化した
・不良率、歩留りが変わった
・納品遅れや不良品の流出があった場合の納入先への影響が異なりそう
・製品が与える環境影響が異なりそう
・製品に適用される法規性が変わった
といった「状況の変化」があるようでした。
上記のような変化があれば、
・廃棄物の発生量
・プラスの環境側面
・順守評価
といった点は、環境影響評価の上で加味されるでしょう。
このコラムの読者の多くの方は、もうお分かりと思いますが、「製造する製品が変わる」ことで、「上記に挙げたような変化」があるのが一般的です。
つまり、少なくとも、抽出される環境側面やそれに伴う環境影響の変化はあるので「環境側面や環境影響に変化がない」ということは、まずありえないのです。
(※評価結果として、管理すべき環境側面(著しい環境側面)は同じかもしれませんが)
このケースは、ほんの一例ですが、この組織の場合は、環境影響評価手順自体は悪くないのですが、組織の状況に変化に合わせた環境影響評価の見直しが十分ではありませんでした。
しかし、組織が実施している内部監査では、こうした点が指摘されていなかったのです。
なかなか、内部にいるとこうした変化点には気づきにくいのかもしれないな、と思った出来事でした。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ601号より)
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