2019年2月8日付の毎日新聞が、
「建築確認の死角 レオパレス物件不良」
という見出し記事を報道していました。
この記事によれば、
・レオパレス21の物件の不良箇所は壁材の内側など完成後の確認が困難な部分に集中していた
・都道府県や民間の建築確認機関などは建築主側に工事中の写真を提出させている
・(提出写真により)見えない部分の材質を確認している
・今回の(施工不良)問題は建築確認制度の死角が突かれた形だ
・レオパレス21によると建築基準法違反の施工不良は、
外壁の内部にグラスウールを挟むべきなのに発泡ウレタンを詰めた(925棟)
天井材を二重に張るべきところを一重にした(641棟)
部屋間の仕切り壁(界壁)に法の仕様と異なる材料を使い、遮音性能不足(771棟)など
・国土交通省は、
問題の物件がある都府県などに対し、建築基準法の違反状況の確認
レオパレス21による今後の改修が仕様に合ったものになるかの確認
要請した
・都府県別で新たに判明した施工不良物件が最多だったのは千葉県
・レオパレス21が2018年に公表した天井裏の界壁が未設置案件は、今も確認作業を続けている
・担当者は、
「施工不良物件は、いずれも天井裏や床下の点検口が設置されていない」
「目視できる部分が限られており、写真で確認したとみられる」
「ただ、写真に問題がなければ、確認済証を交付せざるを得ない」
と説明
・施工不良があった物件の着工時期は1996~2001年
・添付写真など当時の完了検査関係書類の保存期限は5年のため、申請資料の確認は困難
だそうです。
レオパレス21の施工不良問題が明らかになっていくたびに、「不正は、もはや当たり前のように常態化していたのではないか」と思われます。
他の報道では、「設計図面と施工部門に渡された図面が異なっていた」という案件が多数みられるそうです。
当初、この報道を聞いた時は、レオパレス21が会見等で説明していたように「設計部門と施工部門のコミュニケーション不足が原因」と好意的に、今回の施工不良問題を捉えていました。
しかし、続々と明らかになる実態から想像すると、そもそも「建築確認提出用の設計図面」と「実際に建てる施工用の図面」は、「意図して別々に作っていた」と考える方が自然なのでしょう。
つまり、上記に引用した毎日新聞の報道で千葉県の担当者が話しているように
・建築確認では、目視できる部分が限られている
・写真で問題が無ければ建築確認検査済証が交付される
という背景を悪用して、仕様と異なる安価な建材を使用し、工期短縮をはかり、総建築コストを会社ぐるみで削減していたのかもしれません。
施工不良案件が数十件であれば、「工期短縮やコスト削減を強いられ、現場が勝手に施工業者に指示して施工不良をやった」という言い訳も成り立つかもしれませんが、施工不良物件の施工時期が古く長年に亘っており、全国に施工不良建築物件が大量にあることから、「現場の判断」だけといえないのではないでしょう。
建築確認検査の担当官はもちろん、物件オーナーや入居者には不正は分かりっこない、というおごりがあったように思います。
レオパレス21は、私の認識では「敷金礼金ゼロ」をうりに、業績を伸ばしてきた会社、と認識しています。
しかし、実際は、敷金礼金分は、「薄く広く他の細分化された明細に乗せている」ともいわれています。ビジネス的に見れば、「商品の売値の見せ方を工夫」したことで、世間にインパクトを与え注目を浴び、業績が伸びた、ともいえるわけで、法規制違反やコンプライアンス上の問題が無ければ、ビジネスセンスのある会社、と評価されるでしょう。
けれども、今回の次々と明るみになっている状況からすると、もしかすると組織ぐるみの不正、なのかもしれません。
ただ、そうなるとだとすると、改修工事費用は相当額になり、社会からの信用もガタ落ちで、会社の存続も困難になるのかもしれません。
第三者委員会をしっかりと設けて、問題の原因究明と再発防止策がちゃんとやれるかどうかが、存続のポイントなのでしょう。
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