組織の仕事の仕組み(マネジメントシステム)が国際規格に適合し、有効に機能しているかを第三者が審査し、世間に公表するISOマネジメントシステム認証制度がある。
このISOマネジメントシステムについて、最近、個人的に気になっている点を備忘録代わりに、何回かに分けて少しまとめておきたい。
今回のテーマは、「登録証に記載する登録範囲の表記」について。
JABに認定されているISO審査登録機関(認証機関)は、登録証に記載する登録範囲の表記について、ISO9001(品質マネジメントシステム)、ISO14001(環境マネジメントシステム)については、原則、NACEコード(経済活動分類)に基づいて、産業分類が特定できる表記で登録証を発行しています。
経済活動分類表を見たことがある方ならご存知だと思いますが、この経済活動分類は、39分類に区分されており、主な産業分野を下記に示すと、
1:農業、林業、漁業
2:鉱業、採石業
・・・
12: 化学薬品、化学製品及び繊維
13: 医薬品
・・・
17: 基礎金属、加工金属製品
18: 機械、装置
19: 電気的及び光学的装置
・・・
28: 建設
29: 卸売業、小売業、並びに自動車、オートバイ、個人所持品及び家財道具の修理業
30: ホテル、レストラン
31: 輸送、倉庫、通信
32: 金融、保険、不動産、賃貸
33: 情報技術
・・・
37: 教育
38: 医療及び社会事業
39: その他社会的・個人的サービス
というようになっています。
一般的に、企業や団体が、ウェブサイトで自組織の事業を紹介するときには、
「○○の関する事業」
「○○に関する広報業務」
などと表記するでしょう。
しかし、ISO9001や14001の場合の「登録証における登録範囲の表記」は、「顧客に提供することを意図した製品及びサービス名」を表記することが原則です。
一般的に組織の活動を表現する「○○に関する業務」という表現では、「顧客に提供する製品及びサービス」なのか「自社内部の活動・プロセス」なのかわかりません。
ISO認証の登録証の表記では、あくまでも「顧客に提供することを意図した製品及びサービス」で登録範囲を特定するために「登録証の表記を明確に表現」するわけです。
分かりにくいので、具体例を挙げれば、大企業であれば、社員に対する教育研修を専門に実施している「教育部門」があると思います。その教育部門の業務は、「教育研修の企画、提供」です。
しかしこれは「顧客に提供することを意図した製品及びサービス」ではありません。
したがって、登録証の表記に「教育研修の企画、提供」という文言があらわされることはありません。
ややこしいですが、その教育部門が自社の社員教育で培った知見を活かして、外部向けに「教育研修の企画、提供」を実施していれば、これは「顧客に提供することを意図した製品及びサービス」ですので、組織が認証範囲としていれば、登録証に表記されることになるでしょう。
実際に、ISO認証を取得している組織だと差し障りがあるので、「認証を取得していない、かつ、比較的公益性のある組織」を実例として考えてみたいと思います。
例えば、「一般財団法人東北電気保安協会」という組織があります。
http://www.t-hoan.or.jp/
この組織のウェブサイトで「サービス内容」のページを見ると、(ざっくりとまとめますが)
・調査業務
・保安業務(保安管理業務、試験業務、技術開発と研修)
・広報業務(例:電気の上手い使い方の相談業務)
・保安コンサルティング業務
とあります。
パッと見た感じでは、殆どの業務が「顧客に提供することを意図したサービス(製品)」です。
ただ、「自社内部の活動・プロセス」と思われるのが、「技術開発と研修」です。
ウェブサイトでは、「電気保安に関する技術開発と研修カリキュラムにより職員の技術力向上に努めております」旨の記述があるので、おそらく「内部プロセス」であることは間違いないでしょう。
以上の観点から、東北電気保安協会が、顧客に提供することを意図している「製品及びサービス名」(登録証の表記)は、
1)一般用電気工作物の調査(分野35)
2)事業用電気工作物の維持及び運用に関する保安及び試験(分野35)
3)電気の使用及び安全に関するコンサルティングサービス(分野35)
というような感じになるのではないかと思います。
39の経済活動分類を使用するのは、品質マネジメントシステムと環境マネジメントシステムですが、少なくとも、品質、環境に関しての登録証の表記は、前述してきたルールで表記されています。
ただ、組織は、こうした「登録証表記」の仕組みを理解されていない方も多くいらっしゃいます。
(※機関及び機関職員の中にもこのような認識が弱い方が少なからずいらっしゃいます)
要は、「顧客に提供する製品なのか、製品を提供するまでの組織内部のいちプロセスなのか」混同しているわけです。
認証機関、特に、上流工程である「営業」や「見積」段階で、認証機関は組織の「製品及びサービス」を理解され、組織にしっかりと理解していただくよう説明をしておくことが肝要でしょう。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ630号より)
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