組織の仕事の仕組み(マネジメントシステム)が国際規格に適合し、有効に機能しているかを第三者が審査し、世間に公表するISOマネジメントシステム認証制度がある。
このISOマネジメントシステムについて、最近、個人的に気になっている点を備忘録代わりに、何回かに分けて少しまとめておきたい。
今回のテーマは、「事業プロセスとの統合」について。
品質マネジメント規格(ISO9001)と環境マネジメント規格(ISO14001)が2015年に大幅に改定され、その改定の中核的なひとつとして「事業プロセスとの統合」という思想があります。
ただ、このことが規格で明確に記述されている要求事項は「5.1リーダーシップ及びコミットメント」に「トップマネジメントが、要求事項を組織の事業プロセスに統合することによってリーダーシップとコミットメントを実証しなければならない」ぐらいです。
ただ、「事業プロセスとの統合」の意味するところは大きく、大変重要な変更点です。
では、「要求事項の事業プロセスへの統合」とは何をどんな意味として考えればよいのでしょうか。
この場合の「事業プロセス」とは、簡単に言えば、
「組織で実際に運用されている仕事の流れを、規格の要求事項と対比して、組織で実際に運用しているプロセスの中に組み込んで適用してください」
ということです。
今までISOを構築・運用する中で問題となってきたのが、ISOの規格要求事項に適用させるために構築されたマネジメントシステムと組織の実際の運用が整合していないことです。
例えば、「教育訓練」に関して、「教育ニーズを明確にして、教育訓練結果を記録に残す」という要求があれば「ニーズを明確にしたものとして力量表」を作り「記録として教育訓練実施記録」を作るとします。
もちろん、明確な文書類がこれまでいっさい存在しなかったような組織や規格の意図として不足している部分を補う目的で、ISO規格に適用させる形で新規にこうしたものを作ることはやぶさかではないです。
しかし、しっかりした組織であれば、部門の役割を明確にした職務分掌規定や業務に必要な資格リスト、教育を実施すれば議事録等があります。
こうしたもので、事足りていたのに、新たに「ISOに合わせて」力量表や教育記録を作れば、それは、「実態とかけ離れた運用」となり形骸化することは必至でしょう。
つまり、マネジメントシステムの形骸化を防ぎ、有効な運用をするために、ISO規格の要求事項を組織の実際の「事業プロセス」に組み込むひつようがある、というのが2015年版改訂規格に込められた熱く強いメッセージなのです。
(後編に続く)
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